飲用牛乳、 育児用粉乳の普及が進む台湾 (台北市)





● 飲用乳類が酪農製品ケースの 「主役」


 人口3百万人近くの大都会台北市では、 高級、 中級スーパーでは、 ともに、 飲 用乳類が牛乳・乳製品ショーケースの 「主役」 の座を占めている。 飲用乳類では、 普通牛乳、 低脂肪牛乳、 果汁入りや風味付け牛乳など、 諸外国でも一般に見られ るものが販売されており、 全般的にみて、 これらが同売り場面積の半分近くを占 めている。 これらの飲用乳類に、 ドリンクタイプを含めたヨーグルト類を加える と、 全体の3分の2前後を占めることになる。

● 普通・低脂肪牛乳が牛乳の 「主役」


 飲用乳類では、 普通・低脂肪牛乳が大きなシェアを占めているが、 わが国と比 べると、 低脂肪牛乳や果汁入り・風味付け牛乳のシェアが高くなっている。 なお、 飲用牛乳の輸入が規制されていることから、 普通・低脂肪牛乳は国産ブランドで ある。 また、 現地の珍しいものとしては、 緑豆入りの牛乳 (生乳が50%) が挙げ られる。  殺菌方法等についてみると、 高温殺菌牛乳が大部分を占めており、 UHTの比重 は低くなっている。  次に、 容器についてみると、 プラスチック・ボトル、 紙容器が普及しているが、 前者の方が高いシェアを占めている。 また、 わが国の小売店でも復活し始めたビ ン容器は、 スーパーではみられない。

● バターやチーズは依然として 「少数派」


 飲用乳類の次に大きな比重を占めているのは、 ドリンクタイプや風味付けをし たものを含めたヨーグルト・発酵乳類である。 この分野では、 わが国同様、 多様 な商品が販売されている。  一方、 こうした飲用乳類やヨーグルト・発酵乳に比べて、 諸外国でポピュラー なバターやチーズは、 わずかなシェアを占めるに過ぎない。 この傾向は、 現地の 伝統的食生活と深く関連しているものと考えられる。 また、 輸入物がほとんどを 占めるバターやチーズは、 高級スーパーではより比重が高くなっている。 なお、 パン食の普及との関係とみられるが、 スプレッド類は多様な商品が販売されてい る。

● 社会変化がもたらしたベビーミルクの隆盛


 台湾は、 最近では、 粉乳類の輸入を拡大しているが、 スーパーマーケットでは 多種多様の育児用調製粉乳 (ベビーミルク) が販売されており、 ほぼ例外なく、 その専用販売コーナーが設置されている。 現地の関係者は、 消費者の所得が向上 し続けていることや、 社会・家庭生活の洋風化の浸透により、 ベビーミルクの消 費は、 今後も増え続けるであろうと指摘している。 こうした傾向を反映してか、 一部の大洋州乳業関係者は、 (外貨事情が良好なこともあって) 台湾の粉乳類の 買付は、 高品質なものにシフトしつつあると指摘している。

● 小売価格のサンプル (台北市:3月下旬)


(品    目) (摘   要) (ユニット) (台 湾 元) (日本円換算) 普通牛乳 乳脂肪率3〜3. 8% 1リットル 30〜34元 115〜130円 低脂肪牛乳 1リットル 24〜33  90〜125 バター ニュージーランド産 454gパック 80 305 スプレッド 日本産 225gパック 52 200 全粉乳ミックス 米国産 400g缶入り 95 360 カマンベールチーズ フランス産 250gパック 155 590 クリームチーズ フランス産 350gパック 238 905 チェダーチーズ 米国産 150gパック 89 340 モツァレーラ (プロセス) 米国産 150gパック 89 340 輸入原料プロセスチーズ 台湾産 500gパック 150 570 (注) ベビーミルクは、 内容・包装形態等が商品によって大幅に異なるので掲載 せず。
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