トウモロコシの輸入を開始 (フィリピン)





● 15万トンの輸入入札を実施


 フィリピン農業省は、 3月12日、 飼料用トウモロコシ15万トンの輸入入札を翌 週中に行うと発表した。 同国の飼料穀物業者は、 「輸入数量は、 年内に40万トン 近くに達するのではないか」 と見通している。 同国は東南アジアではインドネシ アに次ぐトウモロコシ生産量を誇り、 これまでは輸入することがほとんどなかっ ただけに、 この突然の発表は、 東南アジアにおける飼料需給の増大と輸入依存化 傾向を印象付けるものとなった。

● 不作と飼料需要の増加で需給ひっ迫


 同国のトウモロコシ生産は、 94年には450万トンに達したが、 95年には主産地 のミンダナオ島の不作により、 410万トンに低下したと推計されている。 ただし、 今回のトウモロコシ需給のひっ迫は、 95年の不作のみに起因するものではなく、 企業経営による養豚や養鶏の発展に起因する、 飼料需要の増加に伴う構造的な問 題とされている。  トウモロコシの国内相場は、 95年半ばに6ペソ/kg (1ペソ=約4円) であっ たものが、 現在では9〜10ペソ/kgと大幅に値上がりしている。 なお、 ミンダナ オ島のトウモロコシの収穫は5〜6月であるため、 これが市場に出回るのは、 早 くても5月下旬となるため、 ひっ迫状況は、 当面、 解消されそうにない。

● 国際相場高騰時の輸入発表が業界に波紋


 今回の入札発表があった同じ日に、 シカゴのトウモロコシ相場は、 74年以来21 年ぶりに、 4ドル/ブッシェルを超える高値をを記録した。 このことについて、 関係者の間からは、 「トウモロコシの相場が最高値を付けたときに買い付けを公 表するとは、 タイミングが悪すぎる。 フィリピン政府は価格動向を把握しておら ず、 養豚、 養鶏あるいは飼料業界などの、 需要者の都合に引きずられて事を進め たのではないか」 と批判する声が挙がっている。
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