米国とロシアが家きん肉貿易問題で正式合意 (米国)





● 輸入禁止措置をとらないことで合意

米国政府は3月25日、 ロシアが、 米国産家きん肉の輸入禁止措置を実施しない ことに正式合意したとの声明を発表した。 米国政府は、 ロシアが2月、 衛生問題 などを理由に米国産家きん肉の輸入を禁止する方針を明らかにして以来、 ゴア副 大統領を中心に問題の解決に当たり、 3月始めにロシアのチェルノムイルジン首 相との話し合いで、 ロシアが輸入禁止措置を取らないとの約束を取り付けていた。 しかし、 この約束が口頭のものであったため、 その後も両国間で事務レベルの折 衝が行われ、 今回、 正式な合意声明の発表に至ったものである。

● 工場の衛生・管理状況を合同で検査

 この声明によれば、 ロシア側は、 米国の食肉検査制度と家きん肉がロシアの受 け入れ基準に適合するものであることを公式に認めるとともに、 すでに米国から ロシア向けに船積みされた家きん肉の輸入を認め、 今後の船積み分についても、 輸入許可証の発行を速やかに再開することを約束している。 一方、 米国側も、 ロ シア向け輸出を行う家きん肉処理工場の衛生・管理状況を、 年に1、 2度、 米・ ロシア合同で抜き打ち検査するなどの異例の措置に合意している。

● 米国業界には、 ひとまず安ど感

ロシア市場は、 92年には米国のブロイラー輸出全体の2%を占めるにすぎなかっ たが、 95年には38%のシェアを占める最大の市場に急成長した。 したがって、 輸 入禁止措置が実施された場合には、 米国のブロイラー業界に多大の影響を及ぼす ことは確実であった。 こうしたことから、 今回の合意達成により、 米国の業界関 係者の間には安ど感が広がっている。

● 数量規制などの新たな懸念も

 米国では、 ロシアの今回の輸入禁止の試みは、 衛生問題というよりはむしろ、 国内生産を脅かすほどの急激な家きん肉輸入の増加に対し、 生産者を保護するた めのものという見方が一般的である。 このため、 ロシアが、 今後、 輸入枠の設定 など、 家きん肉の輸入を抑制するための新たな措置を実施するのではないか、 と の懸念もあり、 米国関係者の間では、 今後のロシア側の動きに関心が集まってい る。
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