● 対日輸出は引続き低迷
豪州の対日牛肉輸出が低迷を続けている。 本年上半期 (96年1〜6月) の我が
国の牛肉輸入量は前年同期比13.2%増の34万3千トンとなったが、 これを輸出国
別に見ると、 米国が同27.0%増の16万9千トンと極めて好調であったのに対して、
豪州は同0.9%増の15万2千トンに止まった。
これは、 記録的な生産増により輸出圧力が高まった米国との競争が一層激化し
たことなどによるもので、 総輸入量に占めるシェアも、 米国の49.3%に対して豪
州は44.4%と、 米国にリードを許した形となった。 このように上半期の段階で早
くも米国に水をあけられたことから、 今年は史上初めて対日輸出シェア第一位の
座を米国に奪われるのではないかとの懸念を抱く向きもある。
また、 対日輸出の指標価格となるチルド・グラス・フルセットの輸出価格も96
年7月 (速報値) は1ポンド当り133米セント (約324円/kg) と、 やや上昇傾向
にあるものの、 13カ月連続で前年同月の値を下回り続けており、 対日輸出の低迷
を裏づけるものとなっている。
● フィードロット産業も低迷続く
こうした状況の中、 その7割を日本向け輸出に依存するフィードロット業界も
不振に見舞われている。
この度、 ALFA (豪州フィードロット協会) とAMLC (豪州食肉畜産公社) が共同
で四半期ごとに行っているフィードロットの飼養状況調査の結果が報告された。
これによると、 6月末の総飼養頭数は3月末と比較して約18.0%減の35万6千頭
となった。 次回の9月末には、 さらに13.5%減少すると見込まれており、 これは、
フィードロット経営者の日本市場に対する悲観的な見通しを反映しているものと
考えられる。
● 品質を強調したマーケティングを強化
AMLCは、 低迷が長期化する豪州産牛肉の対日輸出にテコ入れを図るため、 新た
な意味付けを持たせた 「オージー・マーク」 によるマーケティングに乗り出すこ
ととなった。 これは、 従来から豪州牛肉のID確立のために使用されてきたオージ
ー・マークの品質保証の意味合いをさらに強化し、 消費者の信頼感を高めていく
というものである。
全てのグレインフェッド及び高品質のグラスフェッド牛肉のみにオージー・マ
ークを与えることにより、 一定した高品質の牛肉を日本市場に提供することを狙
った、 この新たな戦略が注目されるところである。
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