米国の鶏肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇

○最近のブロイラー業界の動向


● 家きん肉部門の96年企業ランキング


 米国の食肉業界紙 「Meat and Poultry」 は、 食肉産業の企業ランキング (96年 版) を発表した。 これは、 毎年恒例で、 前年の売上高に基づいて順位が決定され ている。 家きん肉部門の上位5社を挙げると、 第1位は、 前年に引き続きタイソ ン・フーズ (本社アーカンソー州) で、 10年前のランキングでは第6位であった ことからみると、 ここ数年間で急成長を遂げたことがうかがえる (同社は、 牛肉 や豚肉など他の部門を含めた総合順位でも、 前年同様第4位であった)。 以下、 第2位はコナグラ (本社ネブラスカ州)、 第3位は、 総売上高が前年に比べて40 %増加したパデュー・ファームズ (本社メリーランド州)、 第4位はゴールド・ キスト (本社ジョージア州)、 第5位はハドソン・フーズ (本社アーカンソー州) と続いている。 なお、 その他の点で特筆すべきことは、 昨年家きん肉部門の第2 位であったカーギル・ミート・セクターが、 国内のブロイラー処理・加工場など をタイソン・フーズに売却し、 ブロイラー生産から撤退したことから、 家きん肉 部門のトップ10から外れたことである。 家きん肉部門の売上高ランキング(上位5社) ───────────────────────────────────── 96年 86年 ───────────────────────────────────── 順位 会社名 食肉部門全体の 順位 会社名 食肉部門全体の 売上高及び順位 売上高及び順位 ───────────────────────────────────── (百万ドル) (百万ドル) 1 タイソン・フーズ 5,500 (4) 1 コナグラ 3,200 (2) 2 コナグラ 12,990 (1) 2 オスカー・マイヤー・フーズ 2,000 (5) 3 パデュー・ファームズ 2,100 (8) 3 スウィフト・エックリッチ 1,686 (8) 4 ゴールド・キスト 1,700 (10) 4 パデュー・ファームズ 822 (14) 5 ハドソン・フーズ 1,200 (13) 5 ホリー・ファームズ・ポールトリー 803 (15) ───────────────────────────────────── 資料:「Meat and Poultry」 注1:順位は、売上高のうち家きん肉部門の売上高(非公表)により整理したもの 2:売上高は一部推計

● 好調なブロイラー業界を支える背景


 ブロイラー業界は、 消費者の健康志向の高まりや、 他の食肉に比べて安価であ り加工しやすいことなどを背景に、 国内・輸出需要の増加に支えられて大きく飛 躍してきた。 一人当たりの年間の鶏肉消費量 (骨付可食重量ベース) は、 85年で は約25kgであったのが、 95年には約36kgになった。 一方輸出についても、 85年の 輸出量 (可食重量ベース) は、 18万9千トンにすぎなかったが、 その後、 一貫し て好調な伸びを示し、 95年には176万6千トンに達している。  また96年に入ってからも、 ロシア向け輸出が引き続き活発であることなどから、 1月から5月までの間の輸出量は、 前年同期比25.1%増と大幅に増加しており、 今後も継続的な増加が見込まれている。 また総生産量に占める輸出の割合は、 85 年は3.1%であったものが、 95年では15.7%となり、 96年には16.2%になると見 込まれている。 今後も、 ロシア、 日本向けを中心として、 輸出の割合が高まると 見られることから、 輸出の動向が、 家きん肉業界の発展にとって、 より一層重要 な鍵を握ることになると思われる。
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