世界の飼料穀物の需給動向


◇絵でみる需給動向◇

○米国でトウモロコシ価格が大幅に低下


● 1ブッシェル3ドル台に低下


 米国では、 トウモロコシの在庫率 (年間総需要に対する在庫の割合) が、 端境 期のピークとなる8月末に、 史上最低の3.8% (14日分) に低下するという緊迫 した事態となっている。 こうした中、 今秋の収穫が明るい見通しとなったことな どを受けて、 先物取引価格が、 つい最近までの高値から一転して、 大幅に低下し ている。  シカゴ商品取引所 (CBoT) のトウモロコシ取引価格は、 一時は1ブッシェル当 たり5ドルを超える高値で推移していたが、 主産地が7月の受粉期に天候に恵ま れて収穫の見通しが明るくなり、 一方、 この間の飼料価格の上昇により家畜の飼 養頭数が軒並み減少していることもあって、 同月下旬には一気に1ブッシェル3 ドル台まで低下した。  価格は、 その後、 比較的落ち着いた動きとなっているが、 今後も、 主産地の天 候情報等に左右される、 神経質な展開が続くとみられている。

● 96/97年度も需給の大幅緩和は望めず


 USDAが7月中旬に発表した需給見通しによると、 96/97年度 (96年9月〜97年 8月) の米国のトウモロコシ生産量は、 記録的な不作だった95/96年度に比べて、 4%増加の232百万トンになると見込まれている。  しかし、 同見通しでは、 96/97年度末の在庫率は、 期首在庫が異常に低い水準 に落ち込むこと、 価格の低下に伴って国内消費が前年度より5.6%程度増加する と見込まれること、 アジア向けの輸出需要が相変わらず好調であることから、 適 正水準とされる17〜18%を大幅に下回る7.6%に回復するに過ぎないとみられて おり、 需給の大幅な緩和は望めないとされている。

● EU・中国の穀物供給は増加の見通し


 一方、 米国以外の主要国について見ると、 まず、 EUの本年度の穀物生産は、 前 年を6〜9%上回り、 185〜190百万トンになることが見込まれている。 また、 EU 委員会は、 既に、 本年度の穀物減反率を10%から5%に緩和することを決定して おり、 EUの来年度の穀物生産は、 これによって、 さらに約8%増加することが見 込まれている。  また、 中国については、 本年度の小麦の生産量が、 前年を7〜8百万トン上回 る、 1億8〜9百万トンに達すると見込まれている。 報道によると、 中国は、 最 近、 約73万トンと見られる米国産小麦の輸入契約を破棄したとされている。 この 解約は、 米国産小麦に病害 (黒穂病) がみられたためと説明されているが、 実際 には中国の国内生産が政府の予想を大幅に上回ったためとの見方も出されている。  EU、 中国ともに世界の穀物需給に及ぼす影響が小さくないだけに、 その動向が 注目される。
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