豪州の牛乳・乳製品の需給動向


◇絵でみる需給動向◇

○加工向け乳価の動向


● 95/96年度は前年度を30%上回る


 豪州農業資源経済局 (ABARE) によると、 95/96年度 (7月〜6月) の加工向 け乳価は、 前年度を30%上回る、 1リットル当たり26.3豪セント (約21円) にな るものと見込まれている。  豪州の生産者乳価は、 加工向けと飲用向けの二元価格制となっている。 飲用向 け乳価が、 各州の酪農機関により、 生産費や物価水準を勘案して行政的に設定さ れる一方で、 加工向け乳価は、 国内および国際市場で実現された乳製品価格をベ ースに、 市場原理に基づいて乳業メーカーと生産者の間で決定されている。  加工向け乳価は、 EUの補助金付き輸出の影響などによる国際価格の低迷から、 94/95年度まで連続して前年度を下回って推移していた。 しかしながら、 95/96 年度の加工向け乳価は、 95年の夏から年末にかけての国際価格の急騰を反映して、 前年度を大幅に上回ることになった (図)。

● 96/97年度は再び前年度を下回る


 さらに、 ABAREは、 96/97年度の加工向け乳価について、 1リットル当たり25. 2豪セントと、 再び前年度を下回る (−4%) と予測している (図)。  この背景には、 バターと脱脂粉乳の国際価格が、 95年末をピークに下降に転じ、 96年6月の時点では、 ピーク時と比較して20%から30%の安値となっていること がある (次頁右下の図を参照)。 また、 現在の豪ドル高傾向が、 今後、 一層強ま るとの見方が一般的で、 輸出にマイナスの影響が及ぶことも懸念されている。  乳業メーカーの動向をみると、 最大手の一つ、 マレーゴルバン社は、 96/97年 度当初の加工向け乳価について、 前年度の水準から約9%引き下げると発表した。 一方、 同じく最大手のボンラック社も、 同程度の引き下げを行うものとみられて いる。

● 依然として生乳生産を刺激する価格水準


 しかしながら、 予測されている96/97年度の加工向け乳価は、 低迷していた94 /95年度の乳価と比較すると24%も高く、 依然として酪農家の生産を刺激するも のと考えられる。 また、 マレーゴルバン社は、 新年度当初の加工向け乳価の引き 下げを決めたものの、 一定の基準を満たす高品質の生乳に支給するプレミアムを 倍増すると発表しており、 生産者の意欲を高める一つの要因になるものとみられ る。  ABAREは、 95/96年度の生乳生産量について、 前年度を6%上回る史上最高の 87億リットルになるものと見込んでいる。 また、 96/97年度には、 これをさらに 4.5%上回る91億リットルに達するものと予測している。
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