EUの牛乳・乳製品の需給動向


◇絵でみる需給動向◇

○乳製品域外向け輸出動向 (95年)


● 95年の輸出量は、 対前年比14.7%増


 欧州統計局によれば、 95年のEU (旧EU12カ国) の乳製品の域外向け輸出量 (速 報値‥製品重量ベース) は、 対前年比14.7%増の約246万トンとなった。 その中 でもっとも輸出量が多かったのは、 飲用乳およびクリーム類で、 対前年比12.1% 増の約67万5千トンとなった。 その他に、 全粉乳、 チーズ、 脱脂粉乳、 バターな どが続いている。  95年に、 EUの乳製品の域外向け輸出量が増加した原因は、 バター、 脱脂粉乳を 中心として、 同年の乳製品の国際市況が全般的に好調であったことによる。 ちな みに、 脱脂粉乳、 バターについては、 国際需給のひっ迫により、 国際価格が95年 平均でそれぞれ、 対前年比39.5%、 73.6%の値上がりと高い水準となった。

● オランダの域外輸出が好調


 次に、 国別の輸出量をみると、 ほぼ全品目で輸出量を伸ばしたオランダが、 対 前年比29.7%増の約68万7千トンともっとも多く、 EU全体の輸出量の27.9%を占 めた。 特に、 同国の脱脂粉乳およびバターの輸出量は、 メキシコやロシアなどか らの需要の増加を背景に、 それぞれ対前年比345.6%増の約8万8千トン、 同139. 5%増の約4万8千トンと大幅に増加した。 また、 フランスは域外ヨーロッパ諸 国への飲用乳およびクリーム類などを中心に約39万2千トンとなり、 ドイツもバ ターを中心に、 約39万1千トンの輸出を行った。  また、 ベルギー/ルクセンブルクが、 東南アジアや中近東諸国向けの脱脂粉乳 および全粉乳を中心に、 対前年比48.1%増の約32万4千トンの輸出を行ったのが 目立っている。  ちなみに、 チーズは主要乳製品の中で、 唯一、 輸出量が前年より減少したが、 中でもデンマークが、 米国や中近東諸国、 日本向けなどに約12万5千トンを輸出 して全輸出量の24.9%の割合を占め、 次いで、 フランスが約10万5千トン、 ドイ ツが約10万2千トンを輸出した。

● 域内市場をめぐる厳しい対応を予想


 このように、 95年のEUの乳製品の域外輸出は、 全般的に好調であった。 しかし ながら、 今後については、 95年から実施され始めたガット・ウルグアイラウンド 合意により、 脱脂粉乳、 バター、 チーズなどの補助金付き輸出数量が2000年まで に21%削減されるため、 輸出量は徐々に減少していくとみられる。 従来、 EU域内 の乳製品の市況が好調であった原因は、 域外向け輸出の増加によるところが大き かったことから、 今後、 EUは、 域内乳製品市場をめぐって厳しい対応を迫られる と思われる。
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