NZの牛乳・乳製品の需給動向


◇絵でみる需給動向◇

○酪農経営の経常収支


● 粗収入、 所得ともに大幅増


 ニュージーランド農業省 (MAF) は、 95/96年度 (6月〜5月) の酪農経営(オ ーナー農場のみ) の経常収支見込みおよび96/97年度の同予測を発表した。  それによると、 95/96年度の1経営体当たりの農業粗収入は、 前年度を23%上 回る23万7千NZドル (約1,634万円) となる見込みである。 これは、 牛肉価格の 低迷から、 副収入である牛の販売収入が1万4千NZドル (約93万円) と前年度を 10%下回るものの、 生乳の販売収入は、 生産の増加と高乳価を反映して、 22万3 千NZドル (約1,541万円) と前年度を26%上回るためである。  一方、 同年度の総支出は、 前年度を17%上回る14万9千NZドル (約1,030万円) となり、 農業粗収入から総支出を差し引いた所得 (税引き前所得) は、 8万8千 NZドル (約604万円) と、 前年度比36%増の大幅な増加となることが見込まれて いる。

● 96/97年度も好調を持続


 また、 96/97年度の経常収支については、 1経営体当たりの農業粗収入が前年 度比2%減の22万NZドル、 また所得は同4%減の8万4千NZドルと、 いずれも前 年度をやや下回るものと予測されている。  これは、 96/97年度には、 バター、 脱脂粉乳の国際市況が弱含みで推移するこ とや、 NZドル高により輸出が伸び悩むことが懸念され、 生産者乳価が前年度を7 %程度下回るものとみられるためである。  しかしながら、 96/97年度の乳価予測 (3.7NZドル) は、 2年前と比較すれば 10%程度高い水準であり、 依然として、 生産を刺激する魅力的な価格であると考 えられる。 このため、 生乳生産は引き続き拡大し、 乳価の低下分を埋め合わせる と考えられており、 同年度の農業粗収入および所得は、 95/96年度と比較して、 わずかな減少にとどまるとみられている。

● 生産基盤の拡大が続く


 なお、 最近では、 酪農経営における収益が好調なことから、 酪農家が規模を拡 大しているのみならず、 収益の悪化に直面している羊、 肉牛経営が酪農に転換し たり、 酪農の発展の余地がある南島で酪農場の開発が行われるなど、 生産基盤の 拡大が進行している。  MAFは、 96/97年度の生乳生産量について、 乳固形分換算で前年度を3%上回 る史上最高の81万トンに達すると予測している。 NZ酪農の動向と1経営体当たりの経常収支 ────────────────────────────────────── 年度(6月〜5月): 93/94 94/95 5/96(見込み) 96/97(予測) ──────────────────────────────────────  期首乳用雌牛頭数(千頭) 2,808 2,994 3,153 3,260 乳固形分生産量(千トン) 735 733 786 810 生産者乳価(NZセント/乳固形分1s) 332 339 400 370 (1経営体当たりの経常収支) (単位:NZドル) ────────────────────────────────────── 農業粗収入 190,382 192,291 236,800 232,000 生乳販売収入 173,882 177,355 223,300 220,000 牛販売収入 16,500 14,936 13,500 12,000 総支出 129,400 127,954 149,200 148,000 税引き前所得 60,982 64,337 87,600 84,000 ──────────────────────────────────────  資料:MAF「Situation and Outlook for New Zealand Agriculture」   注:雌牛頭数には、未経産牛を含む。経営動向調査の対象は、オーナー農場 のみ。
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