台湾の豚肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇

○豚肉消費動向


● 輸出需要に牽引される豚肉生産


 豚肉は、 台湾で最も重要な食肉であるが、 その生産量は、 ここ10年来、 着実に 伸びており、 85年から94年までに831千トンから1,204千トンへと、 44.9%増加し、 国内消費量も、 同じ期間で762千トンから969千トンと、 27.2%増加した。  また、 輸出量について見ると、 同じ期間で69千トンから235千トンと241.0%の 増加を示し、 国内消費の伸びを大幅に上回った結果、 生産量に占める輸出仕向量 の割合は85年の8.3%から94年の19.5%と大きく上昇した。 このように、 台湾の 豚肉生産の拡大は、 輸出によって牽引されてきた部分が大きいということができ る。 台湾の豚肉の生産量及び消費量 ──────────────────────────────────── 年 次 と畜頭数(頭) 生産量(Kg) 国内消費量(Kg) 輸出量(Kg) ──────────────────────────────────── 1985 10,384,258 830,709 761,947 68,762 1988 11,020,942 911,124 784,247 126,882 1991 13,525,987 1,126,132 897,662 228,470 1994 13,860,000 1,203,596 968,842 234,754 ──────────────────────────────────── (注)枝肉重量ベース 資料:台湾農業年報

● 豚肉は食肉消費の中核


 台湾では、 国内経済の成長と国民所得の増大に従い、 食生活の面では食肉消費 が増える方向へと変化してきたが、 現在でも豚肉が肉類の中では最も大きな比重 を占めている。  豚肉消費量は、 84年には、 31.1kgと食肉総消費量 (51.7kg) の60.2%を占めて いたが、 94年には、 消費量が40.4kgに増加したものの、 食肉消費量全体の伸びが 著しかったことから、 全体に占める割合は逆に55.8%に低下した。  このように、 食肉消費量全体が増加しているにもかかわらず、 豚肉の食肉消費 全体に占めるシェアが低下している背景には家きん肉 (鴨、 アヒルを含む) の消 費が急増していることが挙げられる。 家きん肉の消費はこの10年間で18.5kgから 27.1kgに伸びており、 その伸び率は45.9%と、 豚肉の27.8%を大きく上回ってい る (牛肉と羊肉の消費量は依然として低い)。

● 豚肉需要は今後も堅調


 豚肉消費は、 食肉全体でのシェアが低下しているとはいっても、 伝統的に、 中 国料理の食材として極めて優越的な地位を占めてきており、 このことは、 今後大 きく変化する可能性が低いものと思われる。 しかしながら、 外食の普及、 ファス トフードの発達等によって、 次第に消費される食肉の種類が多様化していくこと は考えられる。  なお、 台湾はWTOへの加盟について交渉中であるが、 これが実現すると、 現在 は輸入を禁止している内臓やばら肉についても、 いずれは輸入しなければならな くなると考えられる。 その場合、 輸入量にもよるが、 台湾の豚肉産業は、 一つの 試練を迎えることになろう。
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