ミルクマーク2年目の業績 (イギリス)



● 生乳販売価格は、 前年度より上昇


 イギリスの生乳集荷販売生産者組織であるミルクマーク (MM) が、 94年11月の 発足以来、 2年目の業績 (95年4月〜96年3月) を発表した。 94年度は業務期間 が4カ月しかなかったことから、 今回は初めて年間を通しての実績の発表となっ た。 これによると、 年間集乳量は、 約748万トンで、 イギリスの生乳生産量の約 52%、 EU全体の生乳生産量の約7%を占めた。  また、 年間売上高は、 19億6,800万ポンド (約3,340億円)、 生乳1リットル当 たりの販売価格は26.3ペンス (約45円) であり、 前年度実績 (94年11月〜95年3 月) の26.1ペンスに比べ0.2ペンス上昇した。  売上高増加の原因は、 94年の入札開始以来、 ほとんどの契約において販売価格 が上昇したことにある。 また、 販売価格の上昇要因については、 関係者は、 MMか らの集荷をめぐる乳業会社の生乳獲得競争が激しくなってきたこと、 94年夏から 英ポンド安傾向により、 外国乳業会社の参入が積極的になったことなどを挙げて いる。

● 経費は低下、 リストラの成果


 一方、 生産者乳価については、 平均的な乳成分の生乳 (乳脂肪4.1%、 たんぱ く質3.3%) で、 1リットル当たり25.75ペンス (約44円) と発表されており、 乳 成分の基準はやや異なる (乳脂肪4.1%、 たんぱく質3.35%) が、 昨年度の25.45 ペンスに比べ30ペンス上昇した。  また、 MMが、 契約農家を獲得するために、 留保した利益金から還付して生産者 に支払う年度末一時金の総額は、 1,800万ポンド (約31億円) と、 1リットル当 たり0.25ペンス (約0.4円) となった。  なお、 前年同様、 輸送経費および検査料は公表されていないが、 これを除く集 乳・販売に係る経費は、 1リットル当たり約0.36ペンス (約0.6円) で前年に比 べて、 約0.14ペンス低下している。 これは、 MMが経営の合理化が一つの大きな目 標とされている中で、 職員の削減や乳製品の販売促進事業の中止などを推し進め た結果であり、 かなりの成果が上がっているといえよう。

● 乳業会社は、 入札方式などに反発


 このように、 2年目は良好な業績を上げたMMは、 現在3年目の入札を開始して いる。 しかしながら、 最近のイギリスの生乳市場は、 需給が緩和傾向にあり、 か つ、 最近では英ポンド高傾向が続くなど、 販売価格の設定に当たっては、 厳しい 経済条件がみられる。 当初、 MMは強気の販売価格の姿勢を示していたが、 96年7 月第2回目の入札の結果は、 これらの影響を受け、 前年同月の入札結果に比べる と価格が下落した。  また、 乳業会社は、 MM発足当初からの入札方式 (1回の販売において3回の入 札を行い、 合計の応札数量が供給数量を上回る場合には、 一方的に応札数量を供 給数量にまで縮小 (スケールバック方式) に、 依然として厳しい批判を行うとと もに、 イギリスの生乳市場の半分以上を占めるMMが、 生乳価格を不当に引き上げ ようとしているとして反発を強めている。  今後は、 最終入札結果とともに、 入札方式の見直し論議や、 MMと乳業会社の確 執をめぐる動きも注目されるところである。
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