大規模農場も家族経営が主体 (豪州)



● 穀物、 肉牛、 羊および酪農経営が約4分の3


 豪州農業の基幹的部門は、 小麦を中心とする穀物、 肉牛、 羊および酪農である。 このうち、 穀物、 肉牛、 羊部門における経営形態は、 広大な土地を利用した粗放 的なものであることから、 豪州では、 これらの部門の経営をひとまとめにして 「ブロードエーカー農場 (BroadacreFarm=広大な土地の農場) 」 と呼んでいる。 また、 酪農も、 基本的には土地利用型であることから、 ブロードエーカー農場と 同列に考えられており、 これらの部門は、 畑作、 園芸、 養豚および養鶏などの集 約的な経営形態とは明確に区別されている。  豪州統計局の農業センサスによれば、 94/95年度 (7月〜6月) における農業 経営の総数は約11万6,000であった。 このうち、 ブロードエーカー農場は7万1,5 00、 酪農経営は1万3,700で、 両者で全体の73%を占めている。

● 広大な土地を所有する農場でも家族経営が主体


 また、 豪州農業資源経済局 (ABARE) の調査によれば、 94/95年度において、 ブロードエーカー農場の平均農地面積は6,156ヘクタールという広大なものであ った。 穀物経営に限ってみても、 平均1,662ヘクタール (穀物の収穫面積は725ヘ クタール) となっている。  通常、 このような広い土地を所有する農業経営では、 企業経営が主流になって いるものと考えがちであるが、 実際には、 同年度におけるブロードエーカー農場 と酪農経営のうち、 99.6%は家族経営であり、 企業経営はわずか0.4%を占めて いるにすぎない。  ただし、 肉用牛部門においては、 内陸部や北部で極めて広大な農地を有する企 業経営が多く、 また、 フィードロットも企業経営によるものが多くなっている。 このため、 経営数としてはごく少ない割合を占めるにすぎない企業経営が、 農地 面積、 肉牛飼養頭数に関しては、 それぞれ26.3%、 13.2%と、 いずれも高い割合 を占めている。 豪州の穀物、肉牛、羊および酪農経営における家族経営と企業経営の占める 割合(94/95年度) ────────────────────────────── 家族経営の占める割合 企業経営の占める割合  ────────────────────────────── 経営数 99.6% 0.4% 粗生産額 93.5 6.5 農地面積 73.7 26.3 耕作面積 99.5 0.5 羊飼養頭数 98.4 1.6 肉用牛飼養頭数 86.8 13.2 羊毛生産量 98.2 1.8    ────────────────────────────── 資料: ABARE「Farm Surveys 1996」
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