米農務省、 EEPとDEIPの今年度計画を発表



● 輸出補助制度としてのEEPとDEIP


 米農務省 (USDA) は、 7月18日、 輸出補助制度である輸出振興計画 (EEP)と乳 製品輸出奨励計画 (DEIP) の今年度計画の内容を発表した。  EEPとDEIPは、 ともに米国産の農産物が、 国際市場において競争力を維持でき るように、 USDAの機関である商品金融公社 (CCC) が輸出に対する補助を行う制 度である。 このうち、 EEPは、 小麦や大麦などの穀物類や冷凍家きん肉、 鶏卵な どを補助の対象としている。 またDEIPについては、 脱脂粉乳、 全粉乳、 バターフ ァット、 チーズ等の乳製品が補助の対象となっている。

● 地域指定での柔軟な配分を目指す


 今回発表された計画では、 昨年度まで四半期ごとに決定されていた事業計画が、 1年間 (96年7月〜97年6月) の通年計画としてまとめられている。 これは、 輸 出相手国に対し、 安定的に供給できる体制とすることを目的としたものである。 また、 これまで相手国別に配分されていた補助対象数量も、 対象地域別に配分す る方式に改められた。 これは、 対象地域内における配分を柔軟に行い、 効率的な 事業が展開できるようにすることを意図したものである。

● 畜産物も輸出補助の対象に


 今年度、 EEPにより補助対象とされた畜産物は、 冷凍家きん肉 (3地域、 27カ 国、 3万2,955トン) と鶏卵 (2地域、 7カ国、 2,559万3千ダース) である。 ま た、 DEIPでは、 同様に、 脱脂粉乳 (3地域、 112カ国、 10万222トン)、 全粉乳(2 地域、 97カ国、 9,971トン)、 バターファット (3地域、 111カ国、 3万8,611トン)、 チーズ (3地域、 109カ国、 3,669トン) が対象となっている。

● 次期貿易交渉では輸出補助制度の撤廃を主張


 米国政府は、 今後も自国の農産物が国際競争力を最大限に発揮できるように、 ガット・ウルグアイラウンド合意の範囲内で、 これらの輸出補助制度の最大限の 活用を図るとの立場を取っている。  しかしその一方で、 今年度の事業計画の発表を行った直後に、 グリックマン農 務長官は、 「世界貿易機関 (WTO) の次回の交渉では、 輸出補助制度を含め、 自由 な貿易を阻害するすべての制度を取り除くことを主張することになるだろう」 と の見解を述べた。 米国政府は、 次期WTO多国間貿易交渉で輸出補助制度の廃止を 主張することと、 DEIPなどの現行の輸出補助制度を最大限に活用することは、 別 問題であるとしている。
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