米国の牛肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇

○牛肉生産動向


96年の枝肉生産量は、 史上2番目となる見通し


 米農務省 (USDA) によると、 96年1月から11月の牛枝肉生産量 (枝肉重量 ベース) の累計は、 234億3, 900万ポンド (1, 063万2千トン) で、 前年同期比1.7%の増加となった。  ただし、 上半期 (1月から6月) の生産量が、 肉牛飼養頭数の増加などを反映 して、 129億4,400万ポンド(587万1千トン)と、 前年同期比で6.2 %増加しているのに対して、 7月から11月の生産量は、 104億9,500万 ポンド (476万トン) と前年同期比で3. 4%減少している。  下半期の生産量の減少は、 上半期の供給増に伴う肥育牛価格の低落と飼料高で、 フィードロット経営の収益が悪化し、 フィードロットへの導入が抑制され、 肥育 牛の生産頭数が減少したことにより生じたものである。  なお、 USDAは、 96年第4四半期の枝肉生産量を、 62億5千万ポンド (28 3万トン) と推計しており、 96年通年では、 76年に記録した史上最高の25 6億6,700万ポンドにつぐ、 255億8,500万ポンド (1,160万5 千トン、 対前年比2.2%増加) に達するものと見込んでいる。

肉用経産牛のと畜頭数が急増


 次にと畜頭数についてみると、 96年1月から11月までの総と畜頭数は、 3, 363万4千頭で、 前年に比べ2.9%増加している。 また、 これを牛のタイプ 別に見ると、 去勢牛(総と畜頭数に占める割合49.1%)は、 前年同期比2.1 %減の1,651万1千頭、 未経産牛 (同29.5%) は、 前年同期比3.2% 増の991万1千頭であった。 一方、 注目すべきは、 肉用経産牛 (同11.2%) で、 前年同期比28.2%増の375万4千頭と急増している (乳用経産牛 (同 8.3%) は、 前年同期比5.8%増) 。 肉用経産牛のと畜頭数は、 94年の同 期と比べても38.4%と大きく増加している。  肉用経産牛のと畜が進んだのは、 肥育素牛価格が低迷したこと及び干ばつによ り牧草の状態が良くなかったことから、 生産者が肉用経産牛を処分したものと考 えられる。  USDAは、 肉用経産牛のと畜の増勢は、 97年に入っても当面は続くものと見て いるが、 通年では96年と比べると、 8%から10%は減少するものと見込んで いる。

回復の兆しが見られる肥育素牛価格


 肥育素牛価格 (600〜650ポンド、 オクラホマシティーの市場価格) は、 供給増により、 5月までは100ポンド当たり60ドルを下回って推移した。 6 月以降は、 依然として前年に比べて10%程低い水準ではあったものの、 95年 12月以来の60ドル台前半までに回復した。 11月 (速報値) の価格は、 前年 同月を1. 9%上回る65. 3ドルとなっており、 徐々にではあるが回復の兆 しが見られている。
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