米国の鶏肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇

○ブロイラーの生産と消費


生産動向


 米国のブロイラー生産は、 70年代後半以降国内外の需要に支えられ、 一貫し て増加傾向が続いた結果、 現在では、 世界の生産量 (約3,200万トン) のお よそ3割強を占める規模になっている。 96年に入ってからは、 飼料価格の高騰 による生産コストの上昇から一時的に減少したものの、 ほぼ一貫して前年水準を 上回って推移してきた。 しかし、 最近では国内向け消費を主体とするむね肉の価 格が、 低迷していることなどから、 若干減少気味となっており、 11月の生産量 (過食重量ベース、 骨付き) は、 前年同月に比べて1. 6%の減少となった。 な お、 96年1月から11月までの累計は、 最近までの増勢が寄与して、 前年同期 比4. 8%の増加となっている。

消費動向


 一方、 国内消費の面についてみると、 60年代以降、 業界側が低価格、 低脂肪、 簡便性などの消費者ニーズとうまく合致した新製品を開発、 提供したことから、 消費量は、 着実に増大してきた。 特に、 ここ10年間の消費の伸びは著しく、 9 3年には、 国民一人当たりのブロイラー消費量 (小売重量ベース) は、 31.1 kgとなり、 長年食肉消費の中で首位を占めてきた牛肉を抜きトップとなった (牛 肉29. 5kg、 豚肉23. 7kg) 。  その後も鶏肉は、 価格優位性、 健康志向などの点で消費者から支持を得て、 依 然としてトップの座を維持している。 しかしながら、 95年には消費が伸び悩み、 一人当たりの消費量 (小売り重量ベース) は31. 6kgで、 前年に比べ0. 1 %の減少となり、 80年以降始めて前年を下回ることとなった。  こうした中で、 大手ファストフードチェーンは、 今春から相次いで鶏肉を使用 した新メニューの提供を開始した。 いずれも売上げは好調であることから、 消費 拡大の効果が表れ、 96年の第1四半期の一人当たりのブロイラー消費量 (小売 り重量ベース) は、 前年同期比1. 7%増、 第2四半期は0. 5%の増加とな った。

フードサービスからの需要が鍵


 米農務省は、 96年の一人当たりのブロイラー消費量 (小売り重量ベース) を 32. 3kgと見込んでおり、 97年では、 さらに若干増加して33. 8kgにな ると予測している。  消費の内訳をみると、 70年代では家庭消費向けが大半を占めていたが、 その 割合は徐々に低下し続け、 95年ではファストフードやレストランなどのフード サービス向けの割合の方が若干高くなっている。 ブロイラーの消費構成割合 資料:National Broiler Council調べ  今後フードサービス部門からの需要が好調に推移していくならば、 今後もブロ イラーの消費の増加が見込まれ、 それに伴い生産の方も拡大するものと思われる。
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