世界の飼料穀物の需給動向


◇絵でみる需給動向◇

○米国が飼料穀物の需給予測を再度上方修正


トウモロコシの単収増加が要因


 米農務省 (USDA) が11月に発表した飼料穀物の需給予測によると、 96/9 7年度 (96年9月〜97年8月) の米国のトウモロコシの生産量は、 前月発表 の数値からさらに約6.4百万トン上方修正され、 約235百万トンに達すると された。 この上方修正は、 前月に続く大幅なものであり、 この結果、 本年度の米 国のトウモロコシ生産は、 不作であった前年度に比べて25.7% (48百万ト ン) の大幅な増産となった。  これは、 新農業法の成立を背景としたトウモロコシ作付面積の拡大 (同11. 8%増) の影響もさることながら、 春先の天候不順と播種遅れの作柄への影響が、 USDAの当初の予想をかなり下回り、 平均単収が昨年度の113.5ブッシェル/ エーカーから今年度は126.5ブッシェル/エーカーへと大幅に改善されたこ とが大きく影響している。  さらに、 ソルガムの生産量も上方修正されて約21百万トン (同78%増) と なった結果、 大麦等を含めた飼料穀物全体の生産量は267百万トン (同28% 増、 58百万トン増産) に達することとなった。 米国のトウモロコシ生産の推移

価格は低下するも輸出は減少へ


 USDAは、 飼料穀物の増産に伴って米国内の需給が全般に緩和されることから、 本年度の飼料穀物の農家受取価格は、 前年度平均の324セント/ブッシェルよ り11〜23%低下して、 250〜290セント/ブッシェルで推移すると予測 している。  ただし、 飼料穀物価格の低下に伴い、 米国内の家畜飼料向け消費と工業原料向 け利用 (トウモロコシのアルコール製造利用等) が増加することが見込まれてお り (各々9. 5%、 4. 8%の増加) 、 さらに、 前年度末に14.4百万トン という記録的な水準に低下した米国内の飼料穀物在庫が、 33.6百万トンにま で積み増しされると見込まれている。 このため、 米国の本年度の飼料穀物輸出量 は、 大豊作となったにもかかわらず、 前年度の63百万トンから56百万トンに 減少することが見込まれている。  ちなみに、 96/97年度には、 米国のみならず、 中国、 EU、 カナダ、 アルゼ ンチン等、 主要な穀物生産国で軒並み増産が見込まれている。 しかしながら、 国 際市場への供給面では、 世界の飼料穀物輸出の約6割を占める米国の動向が鍵を 握っていることから、 その輸出量の減少分を、 他の生産国がどの程度埋め合わせ できるかが注目される。
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