豪州の牛乳・乳製品の需給動向


◇絵でみる需給動向◇

○生乳および乳製品の生産動向


新年度の生乳生産は順調にスタート


 豪州酪農庁 (ADC) によると、 96/97年度 (96年7月〜97年6月) の 生乳生産量は、 9月までの3カ月間の累計で、 前年度同期を4%上回る20億5 千万リットル (暫定値) となった。  この間の生乳生産量を地域別にみると、 東部に位置する主要生産州で軒並み増 加している。 特に、 豪州全体の生乳生産量の6割を占めるビクトリア州では、 年 度当初の7月から8月にかけて、 それぞれ前年同月を6%から7%上回る高い伸 びを示し、 全体の生産増の大きな要因となった (表1) 。 表1 州別の生乳生産量 (96年7月〜9月、 暫定値)  資料:ADC 「Monthly Statistics」   注: ( ) 内は前年同月比 (累計については前年度同期比)

ビクトリア州の生乳生産動向が鍵


 ビクトリア州のその後の生乳生産動向をみると、 9月には、 同州の一部におけ る多雨の影響から生産が減少し、 この結果、 伸び率は2%に縮小した。 しかしな がら、 生乳生産がピークを迎える10月から11月にかけては、 再びかなりの伸 びを示した模様である。  現地の報道によると、 ビクトリア州に拠点を置く豪州最大手の乳業メーカーの 一つ、 マレーゴルバン社の工場における生乳処理量は、 11月中旬現在で、 前年 度のピーク時を10%上回っている。 また、 別の最大手、 ボンラック社では、 1 1月初旬に、 1日当たりの生乳処理量の過去最高を記録したと伝えられている。 こうした生産増の背景には、 全般的に天候に恵まれたことのほか、 1頭当たり乳 量の増加などによる既存の酪農家の生産性向上や、 近年の高乳価に刺激されたこ とによる酪農への新規参入の増加が挙げられている。  なお、 ビクトリア州酪農庁 (VDIA) は、 96/97年度全体の同州の生乳生産 量を、 前年度比5%増の57億6千万リットルと予想している。 また、 豪州農業 資源経済局 (ABARE) は、 豪州の総生乳生産量を、 同4%増の91億リットルと 見込んでいる。

バター、 脱脂粉乳の生産量が大幅増


 こうした生乳生産量の増加の中で、 飲用向けの需要は前年度同期とほぼ変わら ないため、 生乳生産量の増加分は、 乳製品の生産に振り向けられている。  年度当初からの3カ月間の累計 (暫定値) では、 特に、 バター (バターオイル を含む) と脱脂粉乳の生産が大幅に増加しており、 前年度同期比では、 それぞれ 34%増の3万1千トン、 11%増の4万7千トンを記録した (表2) 。 表2 主要乳製品生産量 (96年7月〜9月の累計、 暫定値)  資料:ADC 「Monthly Statistcs」   注: ( ) 内は前年度同期比  なお、 ABAREは、 96/97年度の豪州全体の主要乳製品の生産量について、 バター14万8千トン (前年度比4%増) 、 脱脂粉乳22万トン (同3%増) 、 全粉乳11万8千トン (同6%増) 、 チーズ27万8千トン (同7%増) と予想 している。
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