台湾の豚肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇

○肉豚の価格動向


肉豚価格が2年前の水準にまで下落


 本年7月から急速に下降に転じた肉豚価格が、 秋以降も下落を続けている。 長 期的な視野でみると、 肉豚価格は、 好調な輸出にも支えられて、 91年の夏場以 降、 今年6月までは、 概ね上昇傾向で推移してきた。 昨年11月のわが国の豚肉 輸入緊急措置 (セーフガード:SG) 発動以降は、 やや頭打ち傾向が見られたが、 価格が大きな下落傾向を示すことはなかった。 しかしながら、 本年7月からのSG 発動以降は、 前年同月を下回り続けており、 10月には、 2年前の価格を割り込 む生体100kg当り5, 166元 (約20, 664円:1元=約4円) にまで 下げている。 また、 対前年比でみると13. 2%の下落となっており、 9月に 次ぐ下落幅となった。  なお、 その後も下落傾向が収束する兆候は見られず、 11月末の現地の速報値 では、 価格はさらに下げ続け、 ほとんどの取引市場で4,000元台の前半で推 移しており、 中には4,000元を下回る市場も見受けられるようになっている。 価格下落の底が見えない状況が続いているだけに、 養豚関係者の間では、 警戒感 が更に高まっている。

政府は総合的な生産・流通対策に取り組む


 こうした継続的な市況低落に対応して、 行政院農業委員会 (農業省に相当) は、 このほど、 総合的な市況対策をまとめた。 具体的には、 次の生産・流通対策を実 施する準備を行っている。 1) 肉豚出荷頭数の調節による肉豚価格の維持及び国内消費の奨励。 2) 輸出パッカーに対する豚肉在庫資金に係る低利融資 (予算:5千万元) 。 3) 繁殖母豚2万頭の淘汰 (年内を目途) 。 4) 台湾省農会 (全農に相当) 加盟の9千戸の養豚農家に対する価格補てん措置  (予算:2億元) 。 5) 必要に応じて、 政府による豚肉の調整保管の実施 (準備段階) 。  農業委員会は、 これらの施策を実施することにより、 肉豚価格を5,000元 程度に保つことを目指している。 また、 パッカーが輸出の自粛に積極的に取り組 むことにより、 新たな輸入緊急措置が発動されるような事態を回避できるように なることを期待している。
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