MLC、 生産者賦課金上限額の大幅引き上げを提案 (イギリス)



需要拡大を目的に徴収


 イギリス食肉家畜委員会 (MLC) は、 牛肉を中心とする食肉の需要拡大対策の 資金に充てることを目的に、 現在、 生産者とと畜食肉加工業者などから徴収して いる賦課金の上限額を、 97年以降、 大幅に引き上げることを提案した。  MLCが徴収している賦課金には 「普通賦課金」 と 「需要拡大賦課金」 の二種類 があるが、 対象畜種は、 肉牛、 羊および豚で、 と畜時または生体輸出時に、 これ らの賦課金が徴収されている。 肉牛に関しては、 現在、 「普通賦課金」 は、 1頭 当たり205ペンス (約380円) で、 その半分が生産者、 残りの半分がと畜ま たは輸出業者から徴収されている。 また、 「需要拡大賦課金」 は、 1頭当たり2 30ペンス (約426円) で、 これは生産者からのみ徴収されている。 なお、 こ れらの現行賦課金は、 それぞれの上限額を大幅に下回る水準となっている。

6割以上の大幅引き上げ案


 MLCの今回の提案は、 肉牛に関しては、 現行の普通賦課金の上限額238ペン スを400ペンスに、 需要拡大課徴金については同280ペンスを450ペンス に、 それぞれ64%の大幅な引き上げを行うというもので、 新たに策定されたML Cの今後3年間の事業計画の中に盛り込まれている。  このほか、 子牛については、 現行の1頭当たり14ペンスの普通賦課金の上限 額を200ペンスに、 豚については、 同100ペンスの上限額を180ペンスと するなど、 全畜種とも大幅引き上げが計画されている。

BSE問題の長期化で求められる需要対策


 この引き上げによる増収は、 牛海綿状脳症問題 (BSE) により需要低迷が続く 牛肉を中心に、 今後2年間に予定されるMLCの食肉需要拡大対策事業へのテコ入 れを目的に、 イギリス政府に承認を求めている総額1千7百万ポンド (約31億 円) の資金造成に充当するものとみられている。  MLCは、 これらの上限額の引き上げが認可されたとしても、 今後3年間は賦課 金を新たな上限額まで引き上げる予定はないとしており、 その事業計画の中には 具体的な賦課金収入予算額は示されていない。

生産者団体からは反対の声も


 イギリス農業経営者連盟 (NFU) などの生産者団体は、 今回の提案に対し、 需 要増進対策は政府財源で行うべきものであり、 生産者に負担増を強いるべきでは ないとして、 引き上げに否定的な見解を表明している。  これに対して、 MLCは、 今回の賦課金上限額の引き上げについて、 イギリス国 内の牛肉消費は、 BSE問題発生以前の水準に比べて、 未だに2割以上も低い水準 にあり、 早急な需要増進対策が必要であるとして、 各方面に理解を求めている。
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