食肉関係機関の再編を諮問委員会が答申 (豪州)



再編の指針作成を目的に諮問委員会を設置


 食肉関係機関の機能見直しと再編のため、 アンダーソン第一次産業大臣が今年 5月に設置した諮問委員会が、 先般、 政府に対する答申を行った。  豪州の食肉産業は、 輸出環境の悪化等による不況下にあり、 業界全体が、 再編・ 合理化に向けて、 すでに動き始めている。 このような状況において、 連邦政府も、 食肉業界から、 食肉関係機関の合理化を迫られており、 この諮問委員会は、 その ための指針作りを目的に設置されたものである。

3機関の活動内容等を検討して将来像を模索


 再編・合理化に向けて、 3つの食肉関係機関が議論の対象とされたが、 このう ち、 豪州食肉畜産公社 (AMLC) と、 食肉研究公社 (MRC) は、 家畜取引やと畜の 際に生産者が支払う課徴金を原資として、 それぞれ食肉の消費拡大・販売促進事 業と食肉に関する研究開発事業を行っている。 また、 AMLCは、 輸出向けパッカー に対するライセンスの発行などの規制に関する業務も行っている。 さらに、 これ ら両団体の指導・監督、 政策立案を主たる任務とする機関として、 食肉産業協議 会 (MIC) がある。  諮問委員会は、 3機関それぞれの活動内容等の見直しを行い、 事業効果等を検 証したうえで、 将来に向けた食肉関係機関の在り方について検討を重ねてきた。

牛肉、 羊肉別の2団体の新設案が有力


 今回の答申では、 将来の食肉関係機関の在り方について、 いくつかの改革案が 提示されたが、 この中で、 3機関を解散し、 畜種別 (牛肉と羊肉) に2団体を新 設する案が、 最も有力視されている。  その主な内容をみると、 新設される2団体は、 生産者の課徴金によって運営さ れる、 法令に基づかない非営利団体となり、 それぞれの畜種の消費拡大・販売促 進、 研究開発、 品質管理業務を行う。 また、 AMLCが現在行っている規制に関する 業務は、 他の機関へ移行される。 さらに、 事業の実施に当たっては、 可能な限り 民間企業に委託するなどして、 コスト削減に努めるとともに、 民間主導による運 営を図ることとなっている。

来年1月に最終判断の予定


 この改革案について、 牛肉、 羊肉業界からは、 おおむね賛成の声が挙がってい る。  これは、 業界内に、 牛肉と羊肉のマーケティング方式がかなり異なり、 畜種別 に団体を設置することは、 事業の焦点を絞り、 効率を高めることになるとの認識 があるためである。 また、 食肉関係機関の業務内容が絞られることや、 民間企業 を活用して競争原理を導入することで、 課徴金の負担軽減が期待できる点も評価 されているとみられる。  アンダーソン大臣は、 この答申を踏まえ、 今年末まで業界関係者の意見を聴取 し、 来年1月頃には、 再編に関する最終判断を下すことになる。
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