牛乳・乳製品の乳脂肪含有量に関する表示規則を改正 (米国)



食品の栄養成分の表示規則


 食品の栄養面での特性を重視する米国では、 脂肪分や食物繊維分などの栄養成 分の含有量の目安表示として、 「低」 、 「高」 などの表示が一般的に行われてい る。 これらの表示に関しては、 「90年栄養表示・教育法 (NLEA) 」 により、 そ れぞれについての基準が定められている。 しかしながら、 牛乳・乳製品に関して は、 これまでは、 この表示基準の適用が免除されてきた。

業界がNLEAの牛乳・乳製品への適用を求める


 保険社会福祉省・食品医薬品局 (FDA) は、 飲用牛乳製造会社により組織され る飲用牛乳財団 (MIF) や公共利益科学センター (CSPI) などの申請に基づき、 N LEAの牛乳・乳製品への適用について法律改正の検討を行っていた。  申請を行ったCSPIは、 牛乳・乳製品の栄養成分表示方法が他の食品と異なって いるため、 消費者は正確な栄養成分に関する知識が与えられず、 誤解に基いて牛 乳を購入している、 と指摘している。 また、 FDAも、 牛乳・乳製品の食品表示は 正確さと公正さに欠けるものであるとし ていた。

牛乳・乳製品の表示規則を改訂


 今回の改訂規則は、 NLEAの規則を、 98年1月から、 飲用牛乳、 カッテジチー ズなどに適用するという内容である。  NLEAの新しい規則では、 飲用牛乳を 「低脂肪」 と表示するには、 基準供給量 (1回の標準的消費量、 飲用牛乳の場合は240ml) 当たりの脂肪含有量が3g以 下であることが条件とされている。 このため、 例えば乳脂肪分2%の飲用牛乳に ついては、 基準供給量当たり約5gの脂肪分を含んでいるため 「低脂肪」 の表示 を行えないこととなる。 従って、 従来 「低脂肪 (Low Fat) と表示されてきた乳 脂肪分2%の飲用牛乳は、 改訂後は 「脂肪分低減 (Reduced Fat) 」 と表示しな ければならないことになる。 その結果、 飲用牛乳で、 「低脂肪」 と表示できるの は、 一般的に生産されている乳脂肪分1%のものに限られることになる。  また、 今回の規則改訂で、 無脂肪の飲用牛乳については、 脱脂 (Skim) や無脂 肪 (Non Fat、 No Fat、 Fat Free) などの用語が使用できることとなる。

表示の変更による、 牛乳消費への影響に注目


 ここ数年、 米国の飲用牛乳消費量は、 概ね、 わずかな減少傾向で推移している が、 脂肪率で分類した消費の内訳は、 普通牛乳が大きく減少する一方で、 低脂肪 牛乳や無脂肪牛乳が顕著な伸びを示している。 今回の表示の変更が、 今後この傾 向にどのような影響をもたらすかが注目される。
元のページに戻る