EUの牛肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇

○価格低迷に肉牛生産者が怒る (フランス)



一部生産者、 と畜場を占拠

 フランスの肉牛価格は、 例年、 クリスマス前に季節的な底をうち、 年明けには 上昇局面を迎えるが、 今年は1月に入ってもさらに安値を更新している。 現地報 道によると、 フランス西部では、 このような価格状況に対し、 肉牛生産者の怒り の矛先がと畜場やスーパーマーケットなどの流通業者に向けられ、 と畜場の一つ が生産者によって占拠される事態に至ったと伝えられている。

経産牛価格は10%を超え下落

 1月の肉牛価格は、 全般的に続落傾向にあり、 第3週の肥育雄牛の平均価格は 前年同期より6%下落した。 最も下落幅が大きいのは経産牛で価格で、 地域によ っては前年同期を12%も下回る安値となっている。  今回の肉牛価格下落の大きな要因としては、 牛スポンジ様脳症をめぐる報道か ら消費減退が著しいとされるイギリス、 ドイツ両国からの輸入が急増したことが 挙げられている。 また、 経産牛価格の下落は、 肉用経産牛の出荷増に加え、 生乳 生産調整により乳用経産牛が例年の水準を超えて牛肉市場に流れていることが一 因になっている。

EU農産物価格パッケージにも影響か

 現在のところ、 肉牛生産者の抗議行動は西部地域に限られたものであるが、 今 後、 全国的に拡がる様相をみせている。 生産者団体は、 これらの抗議行動を通じ て、 政府に対し、 輸入抑制や、 生産者補助金の増額などの措置を求めている。  今回の抗議行動は直接には価格下落に対する怒りを表したものであるが、 今後 始まる96年度のEU農産物価格パッケージの審議にも少なからぬ影響を与えるとみ られている。 96年度の価格パッケージは2月中にも提案される予定であるが、 肉 牛生産に関しては、 生産者補助金制度の見直し、 または補助単価の引き下げなど が盛り込まれる可能性が強く、 最終的な決定までには、 加盟国間の利害が絡み激 しい議論が展開されるとみられる。 今回、 フランスの肉牛生産者は補助金の増額 も含めて要求していることから、 今後のフランス政府の動向が注目される。
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