世界の飼料穀物の需給動向


◇絵でみる需給動向◇

○世界の穀物需給予測



期末在庫の予測を下方修正

 世界的に穀物の需給がひっ迫する状況が続いているが、 米国農務省 (USDA) は 先月17日、 今年に入って初めての穀物需給予測を公表した。 これによると、 トウ モロコシを中心とする粗粒穀物の、 世界全体の95/96年度末 (96年8月末) 在庫 数量は、 前月の予測よりも約3百万トン下方修正されて約8千6百万トン (前年 比36%減) になるとされ、 ひっ迫の度合がさらに深刻化するとの見通しが示され た。

米国のトウモロコシ在庫は20日分に

 中でも米国のトウモロコシ期末在庫数量は、 前月よりも約3百万トン下方修正 されて約1千3百万トン (前年比67%減) となり、 在庫率 (在庫量の需要量に対 する割合) が約6%に低下すると予測されている。 これは、 世界最大の供給国で ある米国のトウモロコシ在庫が、 約20日分の需要を満たすだけの水準に落ち込む ことを示している。

堅調な需要と輸出増が原因

 USDAは、 今回の期末在庫予測の下方修正について、 穀物の価格が高騰している にもかかわらず、 トウモロコシ等の飼料向けの国内需要が依然として衰えていな いこと、 及び米国以外の主要な輸出国の生産が低迷し、 米国に対する輸出需要が 高まっていることを挙げている。 ちなみに、 米国の昨年12月現在の豚飼養頭数は、 飼料価格の高騰にもかかわらず前年より僅かながら増加し、 少なくとも今後数カ 月間は飼料穀物の大幅な需要減少が見込まれないことを示した。

穀物生産調整の緩和を発表

 こうした中、 米国政府は、 1月、 連邦土壌保全保留計画 (CRP) により休耕さ れている農地の一部について、 休耕期間を繰り上げて契約を終了し、 今春からの 穀物生産に利用する旨を発表した。 しかし、 これが穀物の増産に結び付くとして も、 その効果が現れるのは今秋以降となる。 従って、 少なくとも当分の間は、 米 国を中心とする世界の穀物需給は、 緩和の見通しが立たない状況となっている。
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