EUの牛乳・乳製品の需給動向


◇絵でみる需給動向◇

○フランスのチーズ生産事情



 フランスは、 EU最大のチーズ生産国であり、 94年には、 EU (12カ国) のチーズ

生産の約3割に相当する約146万トンを生産した。 同国のチーズ生産は、 現在も

伸び続けており、 94年度については、 対前年比1.6%の増加となったほか、 過去

10年間では20.5%の増加を示している。 



フレッシュタイプのチーズが急増

 タイプ別のチーズ生産をみると、 フレッシュタイプのチーズが約50万トン、 ソ フトタイプのチーズが約46万トン、 ハードタイプのチーズが約47万トンとそれぞ れほぼ3割ずつのシェアを占めた。 この中でも特に、 フロマージュ・フレと呼ば れているフレッシュタイプのチーズは、 過去10年間で50.4%増と大幅に生産が増 加した。 また、 カマンベールやブリーなどのソフトタイプのチーズも、 同期間に 11.8%と順調に生産を伸ばしている。 ハードタイプのチーズについては、 ゴーダ、 エダムなどの生産が減少したものの、 エメンタールの生産が順調に増加し、 全体 では同期間に8.0%増加した。

生産地域は、 北西部に集中

 同国のチーズ生産は、 9つの主要地域で全体の約85%を占めている。 このうち、 上位5地域は主に北西部に集中しており、 第1位は、 バース=ノルマンディ地方 で約26万トン (17.8%)、 次いでペイ・ド・ラ・ロワール地方約19万トン (12.9%)、 ロレーヌ地方約16万トン (10.8%) となっている。 これらの地域には大手乳製品 メーカーが進出しており、 主にエメンタール、 カマンベール、 ブリーといった同 国の主要チーズや急激に消費が伸びているフレッシュタイプのチーズを生産して いる。  また、 同国は、 各地域で独特のチーズが生産されていることでも有名であるが、 AOC制度 (酪農製品、 農産食品、 ワインなどを対象として、 生産が当該地域で正 しく作られた高品質なものであることを政府が認定する制度) により、 コンテ、 ロックフォールといった32種類 (93年) のチーズが 「原産地統制名称」 品目とし て登録されている。 これらAOC認定のチーズは、 93年には同国のチーズ生産の11% (約16万トン) を占めており、 今後も着実な生産が見込まれている。
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