米国の牛乳・乳製品の需給動向


◇絵でみる需給動向◇

○95年の生乳生産動向



2年連続で最高記録を更新

 米国農務省 (USDA) は先頃、 95年の生乳生産動向 (暫定値) をまとめた。 これ によると、 生乳生産量は、 前年比1.4%増の約7,067万トン、 1頭当たり乳量 ( 年間平均) は、 同1.6%増の約7,432キロとなり、 ともに2年連続で最高記録を 更新した。  なお、 近年減少傾向にある搾乳牛頭数 (年間平均) は、 ほぼ前年並みの約951 万頭であった。  主要生産州における生乳生産状況(95年の生乳生産量上位12州、暫定値) ────────────────────────────────────────── 順位 州 名 生産量 前年比 搾乳牛頭数 前年比 1頭当たり乳量 前年比 (千トン)(%) (千頭) (%) (キロ) (%) 1 カリフォルニア 11,419 100.6 1,255 101.6 9,099 99.0 2 ウィスコンシン 10,419 102.5 1,491 99.8 6,988 102.7 3 ニューヨーク 5,274 101.8 704 98.1 7,492 103.8 4 ペンシルバニア 4,808 103.6 642 100.5 7,489 103.1 5 ミネソタ 4,283 101.1 599 98.4 7,150 102.8 6 テキサス 2,770 98.1 401 99.8 6,908 98.3 7 ミシガン 2,537 100.9 326 99.4 7,782 101.5 8 ワシントン 2,413 102.2 266 101.9 9,070 100.3 9 オハイオ 2,058 100.4 288 98.0 7,146 102.5 10 アイダホ 1,907 112.0 232 111.5 8,219 100.4 11 アイオワ 1,832 101.9 262 98.9 6,991 103.1 12 ニューメキシコ 1,644 109.0 191 115.8 8,606 94.2 全国平均 70,671 101.4 9,509 99.8 7,432 101.6 ────────────────────────────────────────── 資料:「Milk Production」から作成  注:搾乳牛頭数および1頭当たり乳量は、年間の平均である。

振興地域の伸び率が鈍化

 主要生産州の動向をみると、 近年、 めざましい成長で全体をリードしてきた西 部や南部の新興酪農諸州では、 天候不順の影響などによるペースダウンが目立っ た。  生産量は、 テキサス州を除き、 各州とも前年を上回ったが、 その伸び率は、 前 年比2ポイントから18ポイント減となった。 また、 1頭当たり乳量の伸び率は、 各州とも前年並みか、 これを下回る結果となり、 全国平均との比較でも、 すべて の州がこれを下回った。

伝統的酪農諸州は好成績

 一方、 停滞を続けていた北東部と中西部の伝統的な酪農諸州では、 良好な自給 粗飼料に恵まれたことや、 乳価の値上がりで生産意欲が刺激されたことなどから、 95年には比較的良好な成績を記録した。  生産量、 1頭当たり乳量の伸び率ともに、 ミシガン州を除くすべての州が前年 を上回ったが、 特に、 1頭当たり乳量の伸び率は2%から4%と、 軒並み全国平 均以上となった。 この結果、 拡大しつつあった新興酪農諸州との1頭当たり乳量 の格差には、 いったん歯止めがかかった。

96年見通しは前年比3%増

 96年の生産見通しについては、 伝統的酪農諸州で引き続き安定成長が期待され ている一方で、 新興酪農諸州の生産動向は、 飼料価格に大きく左右されると見込 まれている。 現在、 飼料価格は、 穀物需給のひっ迫から高騰を続けているが、 こ のことは、 購入飼料への依存度が高い新興酪農諸州において、 生産者の規模拡大 意欲を阻害するほか、 濃厚飼料給与と関係の深い1頭当たり乳量の伸び悩みにつ ながると考えられている。  USDAによると、 96年の生乳生産量は前年比2%から3%増、 1頭当たり乳量は 同3%増と予想されている。
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