豚肉産業の発展を期し生産流通体制改革を推進 (中国)



定点と畜の推進と流通改革が発展への課題

 国内貿易部 (旧商業部) は、 昨年11月に豚の定点と畜 (注) 推進に関する会議 を、 その先進地域である深@市において開催した。 この会議では、 陳国内貿易部 部長が、 その意義を強調すると同時に、 定点と畜を確実に実施し、 商品の流通全 体の改革に努めるようにとの期待を表明した。 また、 何副部長が、 定点と畜が直 面している重要問題について、 また、 郭深@市副市長が、 同市における豚産業の 経営改革の現状について、 さらに、 同市食品総公司が、 豚の定点と畜実施方法と 経験について報告した。 (注) 定点と畜;旧来の自家と畜や近傍での零細なと畜に代わって、 集中的な処 理拠点で行われる近代的なと畜の意と解される。

と畜加工と流通を有機的に結合した深@の改革

 深@市は、 91年から定点と畜を推進する改革を開始した。 国営工場を主体とし たと畜を実施し、 食肉会社、 卸売市場、 買付人、 卸売り・小売り業らを有機的に 結合することに努めた。 この改革は、 社会主義市場経済に適合し、 市場機能の利 点を活用した改革として、 業界並びに消費者から、 好意的に受け止められている。  具体的には、 次の方策が採られている。 (1) 近代的な食肉会社が軸となり、 買付人が卸売市場、 卸売り・小売り業らを 仲介して、 これらを有機的に結びつけて一体化する。 (2) 一方では、 豚の市場取引の調整を通じて原料豚を確保しつつ、 また一方で は、 卸売業者を媒介として生産と販売を結合し、 経営の活性化を図る。 (3) 市場の活性化を図りつつ価格の乱高下を防止し、 卸売りと小売りのマージ ン差を厳格に守ることによって、 物価を調整する。  その結果、 国営企業が冷凍豚肉では70%、 生肉では90%のシェアを占め、 価格 上昇幅は、 広東省のみならず全国平均を下回っている。 なお、 改革の最も注目す べき点は次のとおりである。 (1) 市場メカニズムと上からの管理を有機的に結び付けたこと (2) 主要ルートと多様なルートを調和的に発展させたこと

豚・豚肉市場安定化のカギは生・販の一体化

 肉豚生産は、 長年不安定な状態であったが、 近年その変動幅が増大して市場に 悪影響が出たため、 中央指導者も大きな関心を寄せた。 肉豚市場の安定化のため には、 生産段階と流通段階での改革を実施しなければならない。  先ず、 生産の発展のためには、 (1) 飼料成分の改善と (2) 養豚の規模拡大が 必要である。  次に、 生産と販売の一体化のためには、 (1) 適正な市場の形成と (2) 優良種、 養豚技術などの、 簡便かつ迅速なサービス提供体制を、 整備する必要がある。  また、 組織替えや管理強化等により国営企業を近代的企業へ脱皮させ、 競争力 の向上を通じて、 主要ルートとしての役割を発揮させることも重要である。  さらに、 市場のニーズに合わせた商品造り (目下の課題は、 部分肉や冷凍肉の 比重を増やすこと) や、 生豚での備蓄の可能性を探ることも必要である。

新しい食肉流通体系の形成をめざして

 肉豚・豚肉の生産と販売の、 一層の改革・発展を追求することは、 新しい食品 流通体系形成のための重要な側面である。 そのために、 実行すべき諸点は以下の とおりである。 (1) 生産・流通と消費を緊密に結びつける。  改革開放政策の実施以来、 旧制度ではさらなる発展への対応が困難となった。 社会主義経済体制の確立には、 生産・流通と消費の連携強化が、 不可欠の要素で ある。 (2) 卸売市場建設を重視し取引を規範化すること。  食品中心の市場を、 商品の集散、 価格形成、 情報発信の中心となし、 卸売り・ 小売り等の認可方式の採用や、 取引行為関連法規を整備する必要がある。 (3) 市場での仲介業者の機能を発揮させること。  仲介者である買付人が、 食肉工場、 卸売業者と小売業者の関係を調整すること により、 品質基準、 定められた量、 入荷時期が守られるようになる。

現在並びに今後の取り組み方針と任務

 96年は 「第9次5カ年計画」 の初年度に当たるが、 これまでの任務を継承し、 今後につなげるための重要な1年となる。 96年の商品流通をめぐる任務は、 さら に改革を推し進め、 市場体系を整えることにある。 (95年12月5日付 「肉禽蛋信息」 より)
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