最近のインドネシアの養鶏事情



 インドネシアでは、 大型養鶏場がインテグレーション化を通じて順調に発展し

ている。 一方、 94年半ば以降の飼料原料価格の上昇によって、 小規模生産者の経

営環境は厳しさを増しており、 政府は、 養鶏産業の保護育成と国内飼料生産の拡

大を求められている。 



インドネシア養鶏の概要

 インドネシアでは、 採卵、 ブロイラー合わせて約7万戸 (地鶏農家を除く) が 年間約50万トンの鶏肉 (94年、 廃鶏肉を含むが地鶏は除く) と36万トンの鶏卵 (94年;地鶏卵、 アヒル卵とも除く) を生産している。 ブロイラー肉の小売価格 は、 キロ当たり約4千ルピア (Rp、 約180円)、 鶏卵は、 キロ当たり約2千Rp(約 90円) である。 畜産物は所得に比較して高価であるため、 年間1人当たり消費量 は鶏肉が1.5kg (95年推計)、 鶏卵が約2kgと低い水準にある。

望まれる輸入飼料の価格安定

 最近のインドネシア養鶏の特徴としては、 第1に、 大規模化が進展しているこ と及び同一企業が飼料・種鶏・薬品・畜産資材など関連分野を総合的に手がける 傾向を強めていることが挙げられる。 第2には、 依然として経営面での不安定さ が続いていることがある。 これは、 飼料価格の上昇率に比較して、 卵価及びブロ イラー価格の上昇率が極めて低いためである。 95年末の飼料価格は、 ブロイラー 仕上げ用でキロ当たり817Rp (約37円) まで上昇した。 インドネシア養鶏協会は、 飼料の一方的な価格上昇が続けば小規模生産者は廃業に追い込まれるとして、 飼 料メーカーに対し、 価格の凍結を求めている。

政府は養鶏産業の体質を強化

 一方、 農業省畜産総局は、 国内養鶏産業を国際競争に耐えられるように育成し ようとしており、 当該産業の保護育成に対する関心は非常に高い。 その具体策と して、 飼料原料の輸入関税率を引き下げると共に、 飼料会社に対しては、 割当て による国内産飼料原料の引取り義務を課している。 昨年5月にはトウモロコシの 輸入関税を5%から0%に引き下げ、 大豆ミールの国内産割当比率を30%とした。 政府は、 この割当比率を20%に引き下げる意向であるが、 4月から国産物引取り 義務を免除する動きもあり、 先行きは不透明となっている。
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