新しい牛肉団体が発足 (米国)



NCAとBICが合併

 全米肉牛生産者協会 (NCA) が、 1月末にテキサス州アントニオで開催された年 次総会において、 牛肉協議会 (BIC) との組織統合による新団体設立を決めたこと で、 新たな牛肉業界団体が2月1日から正式に発足することとなった。 新団体は、 全国肉牛生産者牛肉協会 (National Cattlemen's Beef Association;NCBA) とい う名称で、 初代会長には、 カリフォルニア州の子牛生産者であるジョン・レイシ ー氏が、 また、 経営最高責任者 (CEO) には、 ネブラスカ大学基金の上級副理事長 で、 肉牛生産者でもあるチャールズ・シュローダー氏が就任する。  BICは、 牛の取引の際などに生産者等から徴収される賦課金 (チェックオフ資金) を利用して、 牛肉の消費促進事業を実施する団体で、 先にNCAとの統合を行う意志 決定を済ませていた。

当初、 4団体の統合を提案

 牛肉関係団体の統合計画は、 93年NCAの長期戦略委員会により、 チェックオフ資 金を利用した各種事業等の効率化などを目的として発案されたものである。 当初 の構想では、 NCAとBICのほか、 食肉の海外市場開発を行う米国食肉輸出連合会 (USMEF) と、 チェックオフ資金の徴収やそれを利用した消費拡大、 調査研究など の事業の統括管理を行う牛肉ボードを含めた、 4団体の統合案が持ち上がってい た。  しかし、 USMEFは、 牛肉以外の食肉についても海外市場開発を行っていることな どから、 独立した立場を維持し、 契約に基づく事業の実施という形で、 新団体に 関与することとなった。 また、 牛肉ボードについても、 新団体と業務の一部を提 携するものの、 法律に基づく機関であり、 独立性を要求されることから、 統合の 対象外となった。

NCBAの取り組む課題

 CEOであるシュローダー氏は、 NCBAの発足に当たり、 「我々に課せられた使命は、 業界一丸となって、 長期的な計画に基づき、 消費者ニーズに対応していくことで、 市場シェアを拡大し、 業界の利益向上に努めていくことだ」 と決意を語った。 ま た、 同氏は、 具体的には、 次の事項に取り組まなければならないとしている。  1) 生産コスト削減や、 牛肉の品質及び均一性の向上に結びつく新技術を速や かに取り入れていくこと、 2) 消費者ニーズをとらえるため、 業界内の各種部門 間でコミュニケーションを図ること、 3) 国内外のマーケティング戦略を、 投資 効果を向上させつつ、 進めていくこと、 4) 業界及び牛肉製品に対する消費者の イメージを高めること、 など。  一方で、 この統合計画の提案当初から、 会費収入によるロビー活動と、 法律に 基づき徴収されるチェックオフ資金による事業とが混同される危険性が指摘され ており、 統合に反対する意見が団体内外に根強いことも事実である。 新生のNCBA にとっては、 そうした勢力に適切に対処していくことも、 今後の課題の一つとな っている。
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