「国民の食生活ガイドライン」 を改訂 (米国)



食品の選択に関する情報を提供

 米国政府は、 今年1月に、 「国民の食生活ガイドライン」 を改訂した。 これは、 食品選択に関する情報の提供によって、 米国民の食生活の向上を図ることを目的 として、 米国農務省 (USDA) と保健社会福祉省 (HHS) が、 最新の医学、 科学な どの調査研究に基づき、 共同で策定しているものである。  今回改訂されたガイドラインにおいて、 基本的な指針として推奨されているの は、 1) 多種類の食品を取ること、 2) 運動を行いつつ、 理想体重を維持できるよ うな食事を摂取すること、 3) 穀物、 野菜、 果物を多く摂取すること、 4) コレス テロール、 脂肪の少ない食品を選択すること、 5) 糖分の摂取を控えめにするこ と、 6) 塩分の摂取を控えめにすること、 7) アルコールの摂取を控えめにするこ とである。

肥満人口の多さから体重管理に言及

 このガイドラインは、 80年に最初に策定されて以来、 5年ごとに見直されてお り、 今回で3度目の改訂となる。 今回のものは、 基本的には従来の指針を踏襲し たものとなっているが、 体重管理に関する事項を加えている点が特徴の一つとな っている。 具体的には、 一日30分以上適度な運動を行うことや、 一般的には増加 が避け難いとされる、 中年期の体重について、 青年期の理想体重を維持すること、 などをアドバイスしている。 今回こうした事項が取り上げられた背景には、 米国 成人の3分の1、 子供についても4分の1が太り過ぎという現実がある。

菜食主義には、 一部栄養成分の欠乏を注意

 第2の特徴としては、 今回初めて菜食主義の食事について言及していることが ある。 これによれば、 菜食主義の食事であっても、 内容が適切であれば、 栄養面 からの問題はないとしているが、 一般的に食肉や牛乳・乳製品などの動物性食品 が主な供給源となっている鉄分などのミネラルや、 ビタミンB、 ビタミンD、 カル シウムなどの栄養成分については、 欠乏が起こらないよう注意を呼びかけている。

体系的な情報が得られるように工夫

 第3の特徴は、 今回改訂されたガイドラインと併せて、 食品の栄養表示や摂取 の目安を説明することで、 消費者が、 食生活管理のための体系的な情報を得るこ とができるよう工夫している点である。 ちなみに、 現在、 米国では、 販売されて いるすべての食品に、 原則として栄養表示がされているほか、 1日当たり栄養摂 取基準量に対する割合が記載されている。 また、 USDAは、 フード・ピラミッドと 呼ばれるチャートを作成し、 穀類、 野菜・果物、 食肉、 乳製品などについて、 国 民にそれぞれの摂取の目安を示している。 ◇大洋州
元のページに戻る