豪州の牛肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇

○95/96年度の生産及び輸出は減少の見通し



 豪州農業資源経済局 (ABARE) は、 四半期ごとに主要農産物の生産および輸出見

通しを発表している。 95年12月には、 95/96年度 (95年7月〜96年6月) の牛肉

の生産量・輸出量がともに減少するとの見通しが発表された。 



 

干ばつの収束により飼養頭数が増加

 ABAREは、 95年3月末現在の牛飼養頭数 (5千豪ドル以上の農業収入のある農家 を対象) を前年度を1.1%上回る2,650万頭になると見込んでいる。 これは、 近年、 クィーンズランド州やニューサウスウェールズ州など、 干ばつの影響で頭数が減 少していた東部諸州で、 天候の回復に伴って、 牛の保留傾向が強まっているため である。

と畜頭数および牛肉生産量は減少

 一方、 ABAREは、 と畜頭数および牛肉生産量については、 それぞれ5.7%、 4.7% 減少すると見込んでいる。 特に、 最大の牛肉生産州であると同時に最も干ばつによ る被害が深刻であったクィーンズランド州でこの傾向が強く、 牛群拡大に向けて、 雌牛のと畜頭数が大幅に減少すると見込まれている。 同州では、 95年10月までの4 カ月間に牛の総と畜頭数 (子牛を除く) が全国平均の7.3%を大幅に上回って13.8 %も減少し、 また、 保留意欲の動向を最も的確に反映する雌牛のと畜頭数も、 全国 平均の8. 5%を大幅に上回って16. 5%も減少するなど、 ABAREの予測を裏付ける結 果となっている。

牛肉輸出量は日本向け増加、 米国向け減少

 牛肉輸出については、 生産量の減少に伴い、 数量ベースでは前年度を8.0%下回る 72万2千トン、 金額ベースでは6.2%減少の26億7,100万ドル (豪州ドル、 以下同じ) になると見込まれる。  輸出量を国別にみると、 米国向けの輸出量が、 前年度を20.3%も下回ると予想さ れている。 このことについてABAREは、 現在高水準にある米国の牛肉生産が、 96年も 引き続き増加基調を保つことで、 豪州産牛肉に対する需要がさらに減少するためと している。  これに対して、 日本向けの輸出量は、 前年度を1.6%上回るとみているが、 これは 乳用種の牛肉生産量の減少に伴い、 豪州産グラスフェッド牛肉に対する需要が増加 するためとしている。

生体牛輸出は大幅な増加

 全体的には、 牛肉の輸出が振わない一方で、 生体牛の輸出は前年度比19.9%の、 大幅な増加が見込まれている。  この中心となっているのはフィリピン及びインドネシア向けである。 両国では、 近年、 肉牛産業の振興が政策的に進められており、 肥育素牛の輸入が大幅に増加し ている。  また、 中国も昨年秋には素牛輸入の可能性を打診するべく、 使節団を豪州に送る などしており、 今後の動向が注目されている。
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