タイの鶏肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇

○最近の国内価格及び輸出動向



需給ひっ迫が緩和され、 価格は下降傾向に

 ここ数ヶ月、 高騰を続けていた鶏肉価格は、 雨期による洪水の被害も一段落し たため、 年末に入って小康状態を保っている。 95年12月の卸売価格は、 鶏肉が政 府の価格監視下に入ったこともあり、 1キロ当たり27バーツ (1バーツ=約4円) 台で推移している。 卸売価格の指標となる農家出荷価格は、 飼料価格が高値では あるが比較的安定していることや、 鶏肉用雛の出荷羽数がここ数ヶ月、 増加して いることなどから、 95年5月以来の1キロ当たり25バーツ台の水準まで下がって いる。 このため、 飼料価格の動向に大きな変化がない限り、 96年の鶏肉価格は下 降傾向で推移するとみられている。

対日輸出は依然として苦しい状況

 95年の冷凍冷肉輸出は、 生産コストの改善や新規輸出市場の開拓、 また日本向 けは輸出が比較的好調だったことなどから、 過去最高となった92年の17万4千ト ンには及ばないものの、 前年の15万2千トンを上回ることが確実視されている。 しかし、 対日輸出に限ってみると、 大手鶏肉輸出業者によれば、 中国やブラジル といった輸出競争国の台頭により、 価格的に割高感のあるタイ産には依然として 不利な状態であるなどを勘案すると、 昨年ほどの伸びは期待できないとしている。

韓国、 フランス向けの輸出を開始

 このような中、 新たな輸出市場として注目されているのが、 韓国、 フランスで ある。 韓国向け輸出は、 ガット・ウルグアイラウンドの合意により韓国が鶏肉輸 入を解禁したことを受けて、 昨年5月から開始された。 また、 フランス向けも、 タイが進めてきた新規市場開拓の成果により、 7月からの輸出開始となった。 い ずれも輸出量も現状ではそれほど多くはないが、 両国とも潜在的な需要が期待さ れるだけに、 今後の動向が注目される。 また、 冷凍鶏肉だけではなく、 鶏肉加工 品も、 近年ヨーロッパ向けの輸出が大きく伸びている。

鶏肉加工品の輸出に活路

 一方、 ヨーロッパ向け鶏肉加工品の輸出は、 ここ数年、 特に伸びており、 主に、 胸肉加工品が輸出の中心となっている。 具体的には、 胸肉をカットしてボイルし、 パック詰めの後、 冷凍で輸出される。 輸出先での主な用途は、 ソーセージ向けの 原料とみられている。 近年、 ヨーロッパ諸国では、 健康志向の高まりなどからチ キンソーセージの需要が伸びているとされており、 タイ産の鶏肉加工品は、 この 流れにうまく乗った形となった。 また、 日本向けの鶏肉加工品輸出も、 中国など 競争相手国の参入が始まっているが、 技術的に進んだタイ産の人気は依然として 高い。 鶏肉加工品輸出の伸びは、 日本向け冷凍鶏肉輸出が伸び悩む中で、 業界関 係者にとって、 今後の養鶏産業の方向を探る上での指針となるだけに、 大きな関 心となっている。
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