EUの牛乳・乳製品の需給動向


◇絵でみる需給動向◇

○脱脂粉乳の価格・輸出動向



10月までの生産量は、 対前年比2.2%増

 95年の脱脂粉乳生産量 (12カ国) は、 10月までの累計で対前年比2.2%増の約 103万2千トン (推定値、 以下同じ) となった。 国別では、 デンマーク、 オランダ が、 それぞれ対前年比15.2%減の約1万5千トン、 8.2%減の約2万7千トンと落 ち込んだものの、 合計すると全体の約5割を占めるドイツ、 イギリスが、 それぞ れ対前年比7.6%増の約34万6千トン、 17.6%増の約12万1千トンと前年をかなり 上回ったため、 全体的には増加する結果となった。 なお、 デンマーク、 オランダ で減少した原因は、 両国が全粉乳や高付加価値のチーズなどに生産をシフトさせ たことによる。 また、 全体として生産量が増えた原因としては、 脱脂粉乳の域内 及び国際価格が好調な上、 95年度の生乳出荷量が伸びたことが挙げられる。 なお、 95年の通年の脱脂粉乳の生産量は、 対前年比3.2%増の約123万トンになると予測 されている。

好調な輸出により、 価格は堅調

 脱脂粉乳の指標的価格の一つであるドイツ工場渡し価格は、 94年7月以降ほぼ 前年を上回る、 堅調な動きを示している。 その要因としては、 世界的に脱脂粉乳 の需給ひっ迫気味である中で、 域内及び中・東欧諸国の配合飼料メーカーや域内 の食品メーカーからの需要が相変わらず根強いこと、 また、 メキシコや日本向け の輸出が、 94年に比べて増加したことなどが考えられる。 こうしたことから、 11 月現在の介入在庫量は、 対前年比81.8%減の約1万4千トンと非常に低い水準と なっている。

国際的な需要増を反映して、 輸出補助金を引き下げ

 メキシコをはじめとする国際需要の増加に伴い、 95年の域外向けの輸出数量 (見込み数量) は94年度のほぼ2倍となり、 引き続き拡大する傾向にある。 この ため、 EU委員会は、 12月8日付けで脱脂粉乳の輸出補助金の10%引き下げ (60 ECU/100kgから54ECU/100kg) を決定した。 脱脂粉乳の生産量の増加が見込まれ る中で、 今後とも、 EUの脱脂粉乳価格が堅調さを維持するかどうかは、 域外向け の輸出の動向いかんにかかっている。
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