調査レポート 

EU牛乳乳製品市場の動向と市場管理措置

ブラッセル駐在員 釘田 博文、 東郷 行雄

1.はじめに

 EUの牛乳乳製品市場は、 その将来に強い懸念を与えている95年7月からのウル グアイラウンド (UR) 合意の実施にも関わらず、 最近の動向だけをみると、 介入 在庫の一掃に象徴される需給均衡の達成、 乳製品の輸出市場や価格水準の堅調な 推移などから、 楽観的な状況が続いている。  しかし、 この状況は極めて危うい基盤の上に立つものであり、 UR合意実施の影 響が深化してくる今世紀末にかけて、 さらには今後中長期的にEU最大の課題とな るであろう中東欧諸国へのEU拡大論議が本格化してくるにつれて、 現在の牛乳乳 製品共通市場政策を大幅に見直さざるを得ないだろうということについては、 異 論を唱える者はないだろう。  欧州委員会のフィッシュラー農業委員も様々な場で、 牛乳乳製品市場をめぐる 深刻な懸念を訴えているが、 改革の方向については、 まだ明確な政策改革の展望 を示すには至っていないようである。  本レポートでは、 酪農生産や乳業構造に関連する諸問題には触れず、 生産物・ 商品としての生乳・乳製品に着目し、 その利用状況や市場動向の分析に焦点を当 てるとともに、 それに深く関わっているEUの域内市場管理のための各種の措置を 整理してみたい。 これは、 今後なされるであろうEU酪農政策見直し論議の重要な 背景をなすものである。  具体論に入る前に、 上に述べた牛乳乳製品市場の 「危うい基盤」 たる理由と、 それに対する将来の対応の選択肢を、 項目的にあげておきたい。 そのうちのいく つかは、 本レポートで取り扱われるが、 すべてではない。 (1) EU酪農・乳業に関する論点 1) 構造的な生産過剰 (域内生産の1割は補助金付き輸出、 さらに1割は補助金 付き域内消費) 2) 過剰処理に膨大な経費 (EUの農産物価格支持予算の約15%を占める) 3) 補助金付き輸出の削減義務 4) 国際価格をかなり上回る域内価格 5) 需要の停滞 (特にバターについて深刻) (2) 政策改革の選択肢 1) 生乳生産クオータ制度の見直し (クオータの大幅削減。 2000年までは維持が決 まっているが、 それ以降の取り扱い。 それ以前にも、 二重クオータ制度の導入など、 制度見直しが本格化する可能性有り。) 2) 価格支持水準の引き下げ (他の農産物では実施済みの国際価格へ近づけるため の大幅な価格引き下げ。 乳脂肪分と無脂固形分の価値比率の見直し。)

2.生乳の生産と用途

(1) 生乳生産 1) 10年間に約2割減少  EU12カ国の生乳生産量は、 過去10年間に1割以上減少したが、 ここ数年間は1 億1千万トン前後で推移してきている。  しかし、 EU10カ国 (旧東ドイツを除く) の同一地域に限定して、 クオータ導入 (84年) 以来の生乳生産量の変化をみると、 減少幅は18%にも達している。 91年以降のEU統計には、 旧東ドイツの生産量 (EU12 カ国合計の約5%) が含まれているためであり、 加盟国数の増加と合わせて、 EU の統計を見る際にはこの点に注意する必要がある。    一方、 生乳クオータ数量は、 84年に10カ国を対象に開始されて以来、 その後、 数回の削減が行われ、 その削減率の累計は約1割に相当する。 しかし、 EUの領域 の拡大により、 EU全体としての数量は表面的には増加している。 なお、 以下の乳製品市場の動向分析に当たっては、 原則として、 クオータ制度 導入年である84年 (EU10カ国) と、 最新のデータが揃う93年 (EU12カ国) とを比 較することとしたい。 この間にEUは、 スペイン、 ポルトガルの加盟、 及び旧東ド イツの統合により、 その領域が拡大しているが、 それにも関わらず、 上記のとお りこの間の生乳生産量は約7%減少していることに留意する必要がある。 (表−1)EU生乳生産量                (単位:万トン、%) ──────────────────────────────── 84年 93年  94年 93/84 94/93 ──────────────────────────────── 生乳生産量(EU10) 11,895 9,804 9,786 -17.6 - 0.2 (EU12) 12,634 11,123 11,085 -12.0 - 0.3 ──────────────────────────────── 生乳クオータ数量 10,368 10,905 10,905 + 5.2 0 ──────────────────────────────── 資料:ZMP "ZMP Rairy (various years)"(以下同じ) 注1:EU10には、スペイン及びポルトガル(86年加盟)、旧東ドイツ(90.10.2.     統合)を含まない。 注2:生乳クオータは、84年、94年は12カ国のもの。 注3:生乳生産量は暦年。生乳クオータは生乳年度(4月〜翌年3月)。 2) 乳量、 乳脂率の向上顕著  1頭当たり乳量は、 年当たり2%程度ずつ着実に向上している。 国別の水準に は大きな格差があり、 デンマークが最高、 次いでオランダが高いのに対し最も低 いギリシャはほぼ2分の1となっている。  乳脂肪率については、 バター消費の明らかな停滞傾向にも関わらず一貫して向 上している。 一方、 乳たんぱく率は変動が大きく、 安定した傾向はみられない。 (表−2)平均乳量、乳成分率の推移 ───────────────────────────────── 84年 93年 ───────────────────────────────── 1頭当たり平均乳量(KG) 4,205(3,014−5,452) 5,147(3,250−6,536) 平均乳脂率    (%) 3.86( 3.51− 4.25) 4.02( 3.56− 4.40) 平均乳たんぱく率 (%) 3.24( 3.10− 3.43) 3.22( 2.73− 3.48) ───────────────────────────────── 資料:MMB "EC Dairy Facts & Figures(various years)"(以下同じ) 注:EU12カ国の平均。( )内は国別数値の最小−最大。 (2) 農家自家消費  EUの一部加盟国では、 現在でも農家による自家消費が相当のシェアを持ってい る。 自家消費には、 農家自身が最終消費 (家畜への給与を含む) する場合と、 飲 用又は一次加工後の製品を販売する場合とがあり、 EU全体では約半分が家畜飼料 用である。  生乳生産全体に占める自家消費割合は、 EU全体では低下しているが、 最近でも 8%以上を占めている。 ドイツでは80年代に家畜への給与が大きく増加し、 イギ リスでは農家からの直接販売が増加傾向にある。 また、 ギリシャでは生産される 生乳の約4割 (うち半分はチーズ向け) が、 また、 ベルギー、 スペイン、 ポルト ガルでも1割以上が自家消費となっている。 (表−3)生乳の農家自家消費 ────────────────────── 88(EU10) 93(EU12) ────────────────────── 自家消費数量 (万トン) 1,041 916 生産量に占める割合  (%) 9 8 ────────────────────── 飲用自家消費 (%) 18 19 用 飲用として販売 (%) 16 9 クリーム・バター (%) 6 5 途 チーズ (%) 12 17 飼料用(全乳哺育) (%) 45 47 別 その他 (%) 3 3 ────────────────────── 資料:MMB 注:本表には、山羊乳、羊乳を含む。また、自家消費量には、農家自家消費、 農家で加工して直接消費者へ販売又はメーカーへ出荷した数量が含まれ    る。 (3) 乳業への生乳出荷とその用途 生乳生産量のうち、 農家自家消費を除く92%が乳業メーカーへ出荷されている。 出荷数量は、 クオータ制度導入以来実質的に大きく (1〜2割) 減少した。 これ は、 その後のEU乳業構造のダイナミックな再編への大きな圧力となった。  生乳の消費は、 そのまま飲用向けとなるものから、 各種の加工を経るものまで、 極めて多様である。 加工乳製品については、 バター、 チーズなどの主要な乳製品 は、 生乳成分の一部のみを用いて造られ、 残りの部分 (脱脂乳、 ホエイなど) は 別な加工に用いられること (生乳の用途を単一の製品に結びつけることが困難)、 同じ製品でも多様な加工工程があり得ること、 さらに各種の加工段階ごとに生産 される多様な製品にも最終製品となる場合とさらに他の製品への加工原料となる 場合とがあること、 などから、 生乳の用途を重複を避けつつ正確に把握すること は本質的に不可能といえる。  MMB (イギリス、 Milk Marketing Board。 なお、 94年10月末の廃止に伴い、 統 計資料の発行は94年版はRMMB (Residual MMB)、 さらに95年版以降はNDC (National Dairy Council) が引き継ぐこととなっている) の資料では、 生乳 (全乳) を主たる仕向け製品 (乳脂肪に着目したもの) ごとに振り分けて、 それ ぞれのシェアを推定し、 さらに以上の過程で副産物として生産されるもののうち、 最も重要な脱脂乳については、 さらにその仕向け製品ごとのシェアを推定してい る。 これによると、 EU全体での出荷生乳の用途別割合は、 84年では半分近くを占め ていたバター向けがその後3割にまで急速に低下し、 一方、 チーズ向けは脱脂乳 から製造されるものも含めると、 84年の3割程度から最近では4割程度まで大き く増加してきている。  飲用向け割合は、 加盟国ごとに大きく異なりイギリス、 スペインが高くなって いるが、 これは、 消費の嗜好の違いのほかに、 これらの国が生乳自給率100%以 下であることとも関係がある (輸出型の国は飲用乳シェアは低い)。 また、 イタリア、 ギリシャはチーズ向けが約半分を占めている。  一方、 脱脂乳については、 バター生産に伴う副産物としての生産は減少したも のの、 一方で特に低脂肪飲用乳やフレッシュ乳製品の消費拡大に伴う副産物とし ての増加があり、 用途別シェアの変化にもこれが反映されている。 (表−4)出荷生乳の用途別シェア ───────────────────────────────────             84年   93年 ─────────────────────────────────── 対象国 EC9 FR GE UK NL EU12 FR GE UK NL 合計数量(百万トン) 103 26 24 16 12 108 24 26 14 10 ─────────────────────────────────── 飲用乳  (%) 16 9 11 44 5 18 7 13 50 4 用 クリーム (%) 6 5 10 5 4 8 7 14 3 4 フレッシュ製品 (%) 2 1 4 1 2 3 2 5 2 2 途 バター (%) 44 51 50 29 45 31 39 36 17 26 チーズ (%) 24 29 14 16 28 29 32 20 22 38 別 れん乳 (%) 2 1 4 3 5 2 1 3 4 6 粉 乳 (%) 5 4 3 2 11 5 6 4 3 9 その他 (%) 1 − 4 4 5 6 11 ──────────────────────────────────── 資料:MMB 注1:FR:フランス、GE:ドイツ、UK:イギリス、NL:オランダ 注2:フレッシュ製品には、ヨーグルト、各種乳飲料、デザート乳製品等が含まれる。 注3:本表は、乳脂肪分を含む主要製品別の生乳仕向け割合を示し、加工工程 で生産された脱脂乳、ホエイ等の利用は無視している。なお、生乳用途の仕     訳にあたっては、例えば飲用ローファットミルク向けは飲用乳、ヨーグルト向けはフレッシ ュ製品にカウントし、その副産物であるクリーム、バターは、上表のクリーム、バターには 含まれていない(従って、上表のクリーム、バターのシェアは過小評価されている)。 (表−5)脱脂乳(全体)の用途別シェア ───────────────────────────────── 84年 93年 ───────────────────────────────── 対象国 EC9 FR GE UK NL EU12 FR GE UK NL 合計数量(百万トン) 49 14 14 5 5 40 10 11 3 4 ───────────────────────────────── 飲用乳  (%) 9 10 8 9 11 20 18 17 30 12 用 フレッシュ製品(%) 3 4 1 4 6 7 11 4 10 13 チーズ    (%) 17 18 17 3 30 24 24 28 8 43 途 れん乳 (%) 1 1 3 6 1 2 3 5 粉 乳 (%) 50 63 48 53 45 35 40 44 41 20 別 カゼイン (%) 6 9 5 2 8 10 4 飼料向け (%) 12 3 18 19 2 2 1 2 その他 (%) 2 -7 2 7 3 -3 -1 8 7 ───────────────────────────────── 資料:MMB 注1:飼料向けは、84年には直接家畜に給与されたもので、飼料用の脱脂粉乳 は含まない。 注2:その他には輸出、統計上の不一致分などを含む。
◇図1:生乳の用途の推移◇
◇図2:脱脂乳の用途の推移◇

3.牛乳乳製品の需給動向

(1)なお1割生産過剰  EUの酪農は構造的な生産過剰にあり、 生乳クオータ制度の導入など、 各種の過 剰を抑えるための努力にも関わらず、 最近でも依然として、 生産は域内消費を1 割前後上回っている。 (表−6)EUの牛乳乳製品需給表(生乳換算ベース)      (単位:万トン) ─────────────────────────────────── 84年 86年 90年 91年 92年 93年 94年  ─────────────────────────────────── 生産量 10,941 11,733 11,042 11,405 11,174 11,124 11,085 出荷量 10,129 10,700 10,184 10,529 10,373 10,308 10,315(*) ─────────────────────────────────── 輸入量 313 295 328 292 271 305 329 輸出量 1,712 1,506 1,466 1,458 1,558 1,427 1,281 在庫の変動 622 659 291 -29 -398 -85 -189 ─────────────────────────────────── 域内消費 8,920 9,863 9,613 10,268 10,285 10,087 10,322 ─────────────────────────────────── 自家消費等 1,033 858 876 801 816 770 市場価格 7,969 7,508 7,993 8,112 8,111 8,411 補助付き 861 1,246 1,399 1,372 1,160 1,111 ─────────────────────────────────── 自給率 123 119 115 111 109 110 107 ─────────────────────────────────── 資料:ZMP 注1:84年は10カ国、86年から12カ国。91年から旧東ドイツを含む。 注2:輸出入量には、バター、チーズ、れん乳及び全粉乳を含む。 注3:(*)スペイン、ポルトガル、及び旧東ドイツを除く出荷量は、9,240万トン(84年対比 -8.8%)
◇図3:EUにおける生乳利用・牛乳乳製品生産と域内市場管理措置の関与(93年)◇
(2) 生産の2割強は補助金付き処分 後に詳しくみるとおり、 EUの牛乳乳製品の処分 (域内消費、 輸出を含む) は、 補助金に大きく依存している。 輸出補助金と域内消費補助金の対象数量はそれぞ れ生産量の1割を超え、 両者を合わせた補助金付き処分は25%程度 (生乳換算ベ ース) にも及んでいる。 (3) 国別自給率には大きなばらつき  EUは、 全体としては世界最大の乳製品輸出地域であるが、 加盟国の自給率には 大きなばらつきがあり、 以下のような3つのグループに分けられる。 ・輸出に大きく依存する国:アイルランド、 オランダ、 デンマーク ・ほぼ自給水準にあり、 輸出は限定的な国:フランス、 ドイツ、 ベルギー   ・純輸入国:イタリア、 ギリシャ、 イギリス、 スペイン、 ポルトガル (4) バター輸出減少、 チーズ輸出増加  第三国との貿易量は、 生乳換算でみると、 輸入は生産量の3%弱、 輸出は12% 前後となっている。  主な乳製品ごとにみると、 全粉乳、 カゼインは域内生産量の過半を輸出し、 れ ん乳、 脱脂粉乳も2割以上を輸出している。 また、 バターの輸出は減少している のに対し、 チーズ、 全粉乳の輸出増加が目立っている。
◇図4:EU各国の生乳生産と自給率◇
(表−7)主要乳製品の生産と第三国貿易の動向 (単位:万トン、%) ───────────────────────────────────────── 84年(EC10) 93年(EU12) 比率(93/84)     生産 輸入 輸出(%) 生産 輸入 輸出(%) 生産 輸入 輸出(%) ───────────────────────────────────────── 飲用乳 2,041 0.3 23.0(1) 2,636 0.8 28.7( 1) 129 250 125 クリーム 77 0.0 0.6(1) 119 0.0 3.6( 3) 154 − 640 フレッシュ製品 324 0.9 2.0(1) 574 0.2 6.5( 1) 177 18 327 アイスクリーム 0.6 2.3 バター 210 9.5 37.7(18) 160 6.5 19.8(12) 76 68 53 チーズ 416 10.3 46.8(11) 568 10.9 52.4( 9) 136 106 112 れん乳 134 0.1 52.1(39) 130 0.0 35.1(27) 97 25 67 全粉乳 73 0.1 49.5(68) 90 0.1 58.5(65) 123 60 118 脱脂粉乳 209 0.0 31.2(15) 121 1.9 28.5(23) 58 749 91 ホエイパウダー 74 2.6 5.4( 7) 106 4.6 5.7( 5) 143 181 106 カゼイン 10 1.8 5.5(55) 12 5.8 6.1(53) 116 319 110 ───────────────────────────────────────── 資料:MMB 注1:輸出欄の( )内は生産量に占める割合。 注2:バターにはバターオイル(バター換算)、全粉乳には半脱脂粉乳、ハエイパウダーにはそ     の他のホエイ調製品をそれぞれ含む。

4.牛乳乳製品の生産

(1) 全体動向  84年と93年を比較すると、 生乳生産量が7%減少する中で、 バター及び脱脂粉 乳の生産が大きく減少する一方、 チーズ、 全粉乳、 クリーム、 フレッシュ製品 ( ヨーグルト等)、 ホエイパウダーなどの生産は増加している。 (2) 飲用乳  生乳生産に占める飲用向け (脱脂乳を含む) の割合は、 84年の2割から最近は 25%にまで高まっている。 国別には純輸入国であるイギリス、 スペインが5割以 上と抜群に高い。 飲用乳の種類別シェアについては、 全乳から低脂肪牛乳へのシフトが顕著であ り、 全乳と脱脂/半脱脂乳がほぼ市場を分け合っている。  国別にはアイルランド、 スペイン、 ギリシャなどでは依然として全乳が7割以 上なのに対し、 フランス、 オランダ、 デンマークでは2〜3割と低い。  飲用乳の処理方法別シェアをみると、 EU全体ではUHT牛乳 (超高温加熱殺菌後 無菌充てんされたロングライフ牛乳) のシェアが高まっており、 10年前の4分の 1から、 最近では約2分の1を占めるまでになっている。  国別には、 フランス、 スペイン、 ポルトガルではUHT牛乳が約8割を占めてい るのに対し、 イギリス、 オランダ、 デンマーク、 アイルランドでは依然として殺 菌牛乳が9割以上を占め、 顕著な違いがみられる。  バターミルクも一部の国では、 飲用乳として販売されている。 (表−8)飲用乳の製造販売数量          (単位:万トン、%) ────────────────────────────────── 84年     93年    比率(93/84) 対象国 EC10 FR GE UK EU12 FR GE UK EU12/EU10 合計数量 2,041 357 355 706 2,636 396 511 677 129 ────────────────────────────────── 全乳 68 32 72 91 50 16 63 47 97 半脱脂乳 27 64 23 4 40 80 31 40 196 脱脂乳 4 4 1 5 8 4 2 13 275 バターミルク 2 - 4 - 2 - 4 - 129 ────────────────────────────────── 資料:MMB 注:比率欄は、それぞれの実数量の比率(%) (表−9)処理方法別販売数量                         (単位:万トン、%) ──────────────────────────── 82年     93年    ──────────────────────────── 対象国 EC10 FR GE UK EU12 FR GE UK 合計数量 1,923 358 351 602 2,533 441 525 510 ──────────────────────────── 殺菌牛乳 64 36 52 93 47 14 41 92 殺菌牛乳 12 13 1 6 8 8 1 3 UHT牛乳 24 51 47 1 45 78 58 5 ──────────────────────────── 資料:MMB (3) フレッシュ乳製品 ヨーグルトを初めとしたフレッシュ乳製品は、 いずれも大きく増加している。 国別に多様な製品が商品化されており、 特にフランス、 ドイツでの消費が多い。 統計的な把握が困難な面もあるが、 今後の伸びが最も期待される分野の1つであ る。 (表−10)フレッシュ乳製品の製造販売数量 (単位:万トン、%) ──────────────────────────           84年(EC10) 93年(EU12) 93/84(%) ────────────────────────── 合計数量 324(100) 574(100) 177 ──────────────────────────  ヨーグルト 149( 46) 271( 47) 182  その他発酵乳製品 57( 18) 104( 18) 182  乳飲料 55( 17) 72( 13) 130  デザート類等 63( 19) 127( 22) 201  ──────────────────────────  資料:MMBより作成 (4) クリーム及びバター クリームの増加とバターの減少が一貫して続いている。  脱脂粉乳の生産が42%減となっているにも関わらず、 バターの減少は26%と小 さく、 さらにクリームは5割以上も増加している。 このように、 脱脂粉乳とバタ ー/クリームの生産動向がパラレルとならないのは、 次のような背景によるもの と考えられる。 1) 飲用乳の中で低脂肪牛乳のシェアが高まり、 これに伴うクリーム・バター生 産量が増えていること。 同じことは、 ヨーグルト等の増加によっても起こって いる。 2) 脱脂乳からのチーズやカゼイン生産も増えていること。 (5) れん乳、 粉乳類  脱脂粉乳は大きく減少している。 一方、 ホエイパウダーの生産はチーズ生産の 伸びを上回って増加しており、 ホエイの有効利用が進展していることがうかがわ れる。 なお、 表−7に示されていないものとして、 バターミルクパウダー (約4 万トン)、 半脱脂粉乳 (約6万トン) のほか、 公表された統計はないようだが、 乳糖 (25万トン程度)、 ホエイの調製品 (ホエイたんぱく濃縮物、 ラクトアルブ ミン等、 5万トン程度) などの生産も行われている。 (6) チーズ  欧州のチーズの多様さは改めて触れるまでもないが、 いずれのタイプも順調に 増加しており、 なかでもフレッシュタイプの伸びは特に際立っている。  フランス、 ドイツの2カ国で、 EU全体の過半を生産している。 国ごとに主要な タイプは異なり、 イタリアのパルメザンなどのハードタイプ、 オランダのゴーダ、 エダムなどのセミハードタイプなど、 それぞれの国の伝統と国内又は輸出市場に 根ざした特徴的な生産が行われている。 (表−11)チーズの種類別製造販売数量(EU9カ国) (単位:万トン、%) ───────────────────────────────────── 84年 93年  93/84 ───────────────────────────────────── 対象国 EC9 FR GE IT NL EU9 FR GE IT NL EU9 チーズ゙合計 424 130 101 67 54 554 159 150 85 67 131 ───────────────────────────────────── ハード 102 24 16 23 4 117 26 18 29 1 115 セミハード 112 19 19 6 46 142 19 36 6 62 127 ブルーヴェイン 11 1 1 4 - 12 5 5 4 na 107 ソフト 64 8 8 13 0 76 50 10 14 0 118 フレッシュ 95 41 41 19 1 150 48 66 29 1 157 プロセス 32 13 13 2 2 41 11 16 2 3 129 ───────────────────────────────────── 資料:MMB 注:EU12から、ギリシャ、スペイン、ポルトガルを除く。なお、各国のチーズ生    産量(93年)は、ぞれぞれ18万トン、24万トン、6万トン。

5.市場管理措置

 EUの市場管理措置、 すなわち域内の需給と価格の安定を図るための措置は、 1) 輸入制限、 2) 輸出補助、 及び 3) 域内市場における介入、 に大別すること ができる。  乳製品については、 構造的な供給過剰、 国際価格をかなり上回る域内価格とい った所与の条件の下で、 EUの市場管理措置は、 必然的に、 過剰処理対策に重点が 置かれたものとなっている。  輸入及び輸出に関する措置については、 UR合意の実施に伴い大きな変化がみら れたが、 本誌でも既に取り上げているので、 本レポートでは、 主として、 域内市 場管理措置について報告したい。 これらの措置についても、 度々制度の見直しが 行われており、 現在見直し途上のものもあるが、 ここでは最近の大きな流れをま とめてみ たい。 (1) 市場介入 「市場介入」 は、 広義には 「介入機関による乳製品売買操作」 だけでなく、 「民 間在庫補助」 や 「各種の販売・消費補助」 をも含むと考えられるが、 以下では 「 市場売買操作」 という狭義の意味で用いている。  EUの市場介入制度は、 乳製品共通市場制度に開始当初 (68年) から組み込まれ ているが、 その後、 市場の状況や財政事情を反映して、 度々変更されてきた。 特 に80年代半ばの在庫の増大と財政難に対応して、 87年には入札による買入れ方式 の導入など大幅な見直しが行われた。  介入買入れについては、 介入対象製品が域内消費又は輸出向けに再販売可能な ように、 対象製品の品質、 製造後日数、 包装、 保管条件などが詳細に定められて いる。  それらの条件の中で、 介入機関による買入れ後の代金支払期限は、 売渡し業者 の利益に直接関係し、 介入数量へも影響を及ぼすことから、 欧州委員会は間接的 な介入水準の管理手法として、 EUの財政事情、 在庫数量などに応じて、 支払期限 を頻繁に変更してきた。 対象製品の品質についても、 制限的な方向で見直しが行 われてきており、 バターについては、 在庫処分に難のある加塩バターが89年度以 降対象外とされ、 脱脂粉乳についても、 94年から無脂乾物中のたんぱく含有率を 35.6%以上 (これ以下のものは、 31.4%を下限として、 割引価格で買い入れ可能) とするなどの変更がなされている。 また、 イタリア産チーズに対する介入制度は 94年7月末で廃止された。  現在の買入れ制度の運用状況は、 次のようになっている。 1) バター、 脱脂粉乳とも、 87年3月から、 通常買入れ (介入価格によるオファ ーを無制限買入れ) による買入れ数量が一定水準を超えた場合、 通常買い入れ を停止し、 入札による買入れに変更することとなった。 入札は、 市場価格が介 入価格の92%を下回った場合 (バターの場合) にのみ実施される。 2) バターについては、 その後87年6月から通常買入れは停止され、 入札のみが 実施可能となっていたが、 さらに95年11月からは入札による買入れも停止され た。 3) 脱脂粉乳については、 その後も通常買い入れも実施可能であり、 その買い入 れ数量が10万8千トンを超えた場合、 バターと同様の入札買入れが実施される こととなっている。   4) 実際上は、 買入れ数量は92年以降大きく減少し、 バターについては95年半ば 以降、 脱脂粉乳についても94年後半以降、 買い入れは行われていない。
◇表−12:バター、脱脂粉乳の市場介入買入れ及び民間在庫補助の概要◇
(表−13)バターの需給状況及び消費の内訳    (単位:万トン) ─────────────────────────────────────             88年 89年 90年 91年 92年 93年 94年 95年10月   ───────────────────────────────────── 生産量 116 170 175 179 163 160 159 輸入 8 7 9 7 5 7 在庫変動 -83 -8 +20 -6 -5 -7 ───────────────────────────────────── 介入機関の買入 2 - 25 17 5 3 2 0 介入機関からの売渡 78 8 2 16 14 4 12 4 民間在庫補助対象 27 30 201 12 20 16 16 14 年末在庫 介入機関 10 2 25 26 17 16 6 2 民間補助 10 10 8 4 7 5 6 10 ───────────────────────────────────── 供給合計 256 185 164 191 172 174 輸出 65 40 22 32 24 20 市場価格 28 38 20 22 19 19 特別価格 32 - 1 10 5 1 食料援助 5 2 1 1 1 0 域内消費合計 192 146 142 159 148 154 補助なし 127 110 105 115 104 107 補助付き 65 36 37 44 44 47 ───────────────────────────────────── 資料:MMB (表−14)脱脂粉乳の需給状況及び消費の内訳 (単位:万トン) ──────────────────────────────────────             88年 89年 90年 91年 92年 93年 94年 95年10月 ────────────────────────────────────── 生産量 135 146 167 152 119 125 輸入 0.5 5 1 0.5 0.3 2 在庫変動 -45 +3 +25 +5 -37 -1 ────────────────────────────────────── 介入機関の買入 - - 34 20 - 1 6 - 生産量に対する比率(%) - - 22 14 - 1 5 - 介入機関からの売渡 47 0 1 12 37 2 2 6 民間在庫補助対象 - - - 4 - - - - 年末在庫 介入機関 0.7 0.5 33 42 5 4 7 1 民間補助 ────────────────────────────────────── 供給合計 181 148 143 147 157 128 輸出 62 41 33 25 39 29 市場価格 50 32 26 19 33 23 食料援助 12 9 8 6 6 5 域内消費合計 119 107 110 122 118 100 補助なし 22 32 33 36 39 34 飼料(補助付き) 98 75 77 86 80 65 ────────────────────────────────────── 資料:MMB (2) 民間在庫補助  生産の季節性 (夏期の過剰と冬季の不足) がもたらす悪影響を緩和することを 目的としている。 当初、 バターについての制度であったが、 脱脂粉乳についても、 87年から介入買入れを3〜8月に制限する見返りとして、 介入買入れが停止され ている場合に限り、 実施できることとなった。 しかし、 脱脂粉乳の民間在庫補助 は91年に実施されたのみである。  特定のチーズについても、 介入制度廃止後も民間在庫補助制度は維持されてお り、 その条件は、 市場の状況により、 毎年度決定される。 (3) バターの補助付き消費  EUのバター生産量は、 輸出を考慮しても、 なお市場価格での需要量を上回って いる。 このため、 バターの域内販売・消費に対する補助制度は、 市場状況によっ て実施規模には変化があるものの、 現状では不可欠なものとなっている。  介入在庫からの販売のほか、 在庫水準によっては市中のバターも補助対象とな る。 在庫バターについては、 製造後日数が定められた期間 (通常6カ月) 以上の ものが対象となる。  88年以前には、 大量の介入在庫の処分が行われたが、 最近では市中バターに対 する補助数量の方が増加している。  主要な補助付き販売は以下のとおりである。 1) 製菓製パン原料  近年の最も重要な補助対象は、 菓子類、 アイスクリーム、 その他食品の製造業 者に対するバター、 バターオイル及びクリーム (91年に追加) の販売である。  バターについては、 介入在庫バター又は市中バターの両方が対象となる。 また、 バターにはトレーサー (追跡可能な標識物質) が添加されるものとされないもの とがあり、 前者については製造業者の登録義務及び最低バター使用量義務が免除 される。  最終製品は、 以下の4つに区分される。 フォーミュラA:菓子・パン類 (関税番号1905の一部、 以下同じ)、 砂糖菓子類 (1704)、 ココアを含む調製品 (1806) 等 フォーミュラB:アイスクリーム (2105)、 アイスクリームミックス (1806、 1901、 2106) 等 フォーミュラC:菓子・パン生地 (1901)、 穀粉を含む粉調製品 (1901) 等 フォーミュラD:食肉・魚介類の調製品 (1902、 1904、 2005)、 ソース・スープ原料 (2103、 2104) 等 (いずれも、 乾物中の乳脂肪含有率は5%以上)  入札により販売され、 応札状況と対象バター数量に応じて、 最低販売価格 (市中 バターの場合、 最大補助単価) が決定される。   2) バターオイル製造用  85年以来実施されているもので、 ホテル、 レストラン、 病院等の施設を含む消 費者に割引価格のバターオイルを供給することを目的としている。  補助対象はバターオイル製造業者で、 小売向け製品 (10kg以下) の製造が義務 付けられる。  介入在庫のほかに、 市中バター及び民間在庫補助対象バターも対象となり、 入 札により最大補助単価が決定される。 3) 非営利団体等向け  72年から、 軍隊及び非営利団体に対する補助付き定価販売が行われている。 在 庫水準の低下を受けて、 81年から市中バターも対象となった。 軍隊向けは、 89年 に廃止された。 4) 社会保証受給者向け 社会保証を受けている人々が一定数量のバターを引換券により割引価格で購入 することができる仕組み。 本制度は当初からアイルランドのみで実施されており、 同国バター消費量の約5割を占めている。 5) 社会的困窮者向け  介入在庫バターやその他の製品を慈善団体を通じて困窮者へ提供する仕組み。 6) 直接消費補助  76年に導入された制度で、 87年以降はルクセンブルクのみで実施されていたが、 93年以降実績はない。 7) 使用制限なし定価販売  一定期間以上貯蔵された介入在庫バターは、 市場条件が許せば、 販売時に適用 されている介入価格に1ECU (100kg当たり) 上乗せした価格で販売される。 非営 利団体向けには同様に31ECU割り引いた価格で販売される。 (表−15)バターの補助付き消費                  (単位:万トン) ────────────────────────────────────── 88年 89年 90年 91年 92年 93年 94年 (介入) ────────────────────────────────────── 製菓用(Form.A/C/D) 26 22 24 27 29 32 35 (10)  アイスクリーム用(Form.B) 7 5 6 8 7 7 10 (0.6) 軍隊向け 0.7 0.6 0.2 - - - - - 非営利団体向け 4 4 4 4 4 4 4 - バターオイル製造用 4 2 2 2 2 2 2 (0.2) 社会的困窮者向け 1 1 1 1 1 1 1 (0.5) 社会保証受給者向け 0.6 0.6 0.6 0.6 0.7 0.7 0.8 - 飼料用 19 - - - - - - - 直接消費補助 0.3 0.2 0.2 0.2 0.2 - - - ────────────────────────────────────── 域内消費向け合計 61 35 37 43 44 47 (11) ────────────────────────────────────── 食料援助 4 4 1 1.3 0.5 1.0 0.0 - 輸出向け 28 - 0.5 11 4 0.7 1.1 (1.1) 用途制限なし在庫販売 - - - 0.5 0.1 - ────────────────────────────────────── 資料:欧州委員会 注:( )内は94年の介入在庫からの販売。
◇図5:バターの補助付き消費量の推移◇
(4) 脱脂乳・脱脂粉乳の補助付き消費  脱脂粉乳の市場価格での域内需要は約30万トンとみられ、 120万トン前後の域 内生産の処分には、 飼料利用に対する補助金は不可欠である。  脱脂乳及び脱脂粉乳に対する主要な補助としては、 以下の種類がある。 ア. 飼料用脱脂乳 1) 乳業会社から農家に戻されるもの 2) 農家のバター自家生産に伴うもの 3) 農家のクリーム出荷に伴うもの イ. 飼料用脱脂粉乳 1) 飼料向け変性処理 (ルーサンミール、 魚粉、 でんぷんなどと混合) 後利用さ れるもの 2) 配合飼料原料となるもの ウ. カゼイン生産用脱脂乳 脱脂乳及び脱脂粉乳の補助対象数量は、 80年代前半には、 270万トン (脱脂粉乳 換算、 以下同じ) 前後に達した。  このうち、 飼料向けは、 70年代後半から80年代前半のピーク時 (約230万トン) 以降減少し続けており、 94年には68万トンとなった。 また、 70年代はじめには約 4分の1を占めていた脱脂乳の利用が大きく減少し、 最近では9割以上が脱脂粉 乳となっている。 87年以前には子牛以外への飼料利用も補助対象とされていたが、 最近では子牛向けに限られている。  脱脂乳の飼料利用のなかでは、 乳業会社から農家へ戻されるものが約8割を占 めている。 国別にはドイツとイタリアでの利用が大きい。 クリームを出荷する農 家が残りの脱脂乳を飼料利用する形態はベルギー、 フランスでみられるが、 数量 は小さい。  脱脂粉乳については、 飼料向け変性処理後農家で利用されるものの割合は極め て小さく、 ほとんどが配合飼料 (ヴィール (子牛肉) 生産用代用乳) 原料として 用いられている。 ヴィール生産主要国であるフランス、 オランダ、 イタリアの3 カ国で8割以上を占めている。 なお、 補助対象となる脱脂粉乳の配合飼料への最 低混合率は、 在庫水準などによって度々変更され、 88年6月に60%から45%へ引 き下げられた後も変更が繰り返されている。  カゼイン生産用脱脂乳の補助対象数量は、 70年代後半から増加し、 最近やや減 少しているものの、 補助対象脱脂乳/脱脂粉乳全体に占めるシェアは約3分の1 を維持している。  最近脱脂粉乳の介入在庫はほとんど消滅しており、 以上の補助付き脱脂 (粉) 乳処分措置の重要性は低下しているとみられるが、 構造的な大幅過剰は依然変わ っていないため、 食用以外の処分に対するこれらの補助対策は今後とも維持せざ るを得ないだろう。 (表−16)脱脂乳/脱脂粉乳の補助付き消費         (単位:万トン) ──────────────────────────────────            88年 89年 90年 91年 92年 93年 94年 ────────────────────────────────── 介入在庫から販売 47 - 1 12 37 2 2 市場価格(制限なし) 37 - - 8 15 - 食料援助 0.3 - - 1 4 0.0 入札による販売 0.7 - - 0.5 17 1 輸出向け 9 - - - - - - その他 0.1 0.2 0.9 2 0.0 0.1 ────────────────────────────────── 脱脂粉乳に対する補助 95 75 77 86 80 66 65 変性処理後飼料 1.5 0.9 1.3 1.0 1.5 0.8 na 子牛用飼料 94 74 75 84 78 65 65 その他家畜用飼料 - - - 1 - - - ────────────────────────────────── 脱脂乳に対する補助 866 649 437 491 562 436 408 子牛用飼料(a) 165 89 69 85 58 42 35 乳業会社から 140 70 53 70 47 34 29 農家バター生産 25 16 15 14 10 9 6 その他家畜用飼料 19 - 0 22 - - - カゼイン生産用 682 560 368 384 504 393 373 ────────────────────────────────── 補助対象数量合計(b)  174 134 116 130 131 107 102 ────────────────────────────────── 資料:欧州委員会、ZMP 注:(a)子牛用飼料に使用される補助対象は、乳業会社で生産され農家に戻され      るもの、農家によるバター自家生産に伴うもの、農家のクリーム出荷に      伴うものの3種類がある。最後のものは数量は小さい(92年で約1万トン)。 (b)補助対象数量合計は、脱脂粉乳換算数量(脱脂乳の換算係数は11.0)
◇図6:脱脂乳/脱脂粉乳の補助付き消費量の推移◇
(5) 学校給食牛乳に対する補助 牛乳乳製品の消費拡大策の1つとして、 77年5月に農相理事会により合意され た。 児童・生徒が学校で消費する全乳、 全乳ヨーグルト、 半脱脂乳、 半脱脂ヨー グルト、 バターミルク、 チーズが対象となる。  すべての児童・生徒は、 1日当たり最大0. 25リットルの牛乳又はそれに相当 する乳製品に対して補助を受ける資格を有する。 特別な必要がある場合、 0. 5リ ットルまで増加させることができる。  対象数量は、 EU9カ国 (ギリシャ、 スペイン、 ポルトガルを除く) で92年度約 35万トン、 93年度約31万トンとなっている (IDF資料)。 (6) 補助単価  以上の各種の措置に関する補助単価等の一覧を表−17に示した。 これらの補助 単価は、 市場の状況を反映し、 その後引き下げられているものが多い。 (表−17)EUの乳製品に対する補助金単価等(ECU/トン) ────────────────────── 94年度 ────────────────────── 1.バター @民間在庫補助 固定単価 20.00 保管期間1日当たり 0.35 購入価格に対する金利 7.0% A介入在庫からの販売 ・直接消費用バターオイル向け 入札による ・使用制限なし 介入価格+10ECU ・輸出 入札による B市中バターの販売補助 ・非営利団体向け a) 1,300 ・製菓業者 b) 1,250 ・アイスクリーム製造向け b) 1,250 ・バターオイル製造業者向け b) 1,810 ────────────────────── 2.脱脂粉乳 @民間在庫補助(1日当たり) EU10カ国 0.35 スペイン・ポルトガル 0.44 A飼料利用に対する補助 ・脱脂粉乳 c) 592.20 ・液状への還元 479.70 B飼料向け介入在庫販売補助 入札による C制限なしの介入在庫販売補助 介入価格+10ECU ────────────────────── 3.脱脂乳 d) @飼料利用 48.00 Aカゼイン生産 62.00 ────────────────────── 4.牛乳 学校給食 e) 全乳製品 243.8 半脱脂製品 153.9 ────────────────────── 5.チーズ 民間在庫補助(1日当たり) Grana Palano 2.00 Parmigiano-Reggiano 1.80 長期保存チーズ 1.63 Plovolone 1.50 Pecorino Romano 1.71 Kefalotyri & Kasseri 1.97 ────────────────────── 資料:MMB 注:a)ニュージーランド産バターも対象。 b)マネージメントコミッティーが決定。 標識製品に対する上限単価(94.9.30) c)バターミルクパウダーを含む。 d)バターミルクを含む。 e)例外を除き、最大数量は生徒1人・登校日当当たり0.25リットル。     ヨーグルト、乳飲料、一部チーズも対象。チーズについては、全     乳に換算して算出。域内生産に限る。
元のページに戻る