95/96年度の農産物輸出、 2百億豪ドルを突破 (豪州)



 豪州農業経済資源局 (ABARE) は、 四半期ごとに国内の経済成長や国際貿易の

状況を勘案し、 主要農産物の短中期的な生産と輸出見通しを作成している。 12月

に発表された95/96年度 (7〜6月) の見通しによれば、 農産物の輸出金額は、 

対前年度比8. 6%増の212億豪ドルと、 初めて2百億豪ドルの大台を突破すると

見込まれている。 

豊作により、 穀物輸出額が急増

その牽引車とみられるのは穀物輸出の急増であるが、 これは、 穀物生産の大幅 な回復によりもたらされたものである。 小麦が対前年度比92%増の1, 705万トン、 大麦がほぼ倍増の557万トンなど、 全体の冬穀物の収穫量は、 前年度の干ばつ被害 による大幅な落ち込みから一転して、 92%増の2, 750万トンと史上3番目の豊作 になると見込まれている。  さらに、 世界的な穀物需給のひっ迫により国際価格が高値で推移していること も相まって、 穀物の輸出金額は対前年度比76%増の46億豪ドルと、 大幅な伸びを 記録すると予想されている。

乳製品輸出額も39%の増加

また、 乳製品の輸出金額も39%増の19億豪ドルに達すると見込まれている。 こ れは、 生乳生産のピーク時に当たる春季に天候に恵まれたことや、 好調な乳製品 需要に支えられ生産者乳価が上昇していることなどから、 95/96年度の生乳生産 量が86億リットルと対前年度比5%増加したことによるものである。

地域、 品目によっては依然干ばつが影響

このように、 95/96年度の輸出が好調と見込まれる原因は、 全体としては生産 が順調であることによるが、 反面、 生産地域や品目によっては、 大きな格差が生 じているようだ。  例えば、 小麦生産に関しては、 ウエスタンオーストラリア州では過去最高の収 穫量を記録する一方、 ニューサウスウェールズ州中部、 南部では大雨により、 ま たクィーンズランド州の一部では、 引き続き干ばつによって、 生産の停滞がみら れる。  また、 牛肉部門では、 牛群の拡大局面にあるためにと畜頭数が減少し、 一方豊 作であるにもかかわらず、 国際需給ひっ迫の影響から飼料穀物価格が低下しない ため、 引き続き厳しい環境に置かれるようである。
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