農務省、 牛枝肉のスチーム殺菌方法を承認 (米国)



品質変化を起こさず効果的に殺菌

 米国農務省 (USDA) は先頃、 大手食肉パッカーであるエクセル社が、 食品加工 機器メーカーと共同で開発した、 スチームによる牛枝肉の殺菌方法の使用を承認 した。  この方式は、 主として、 1) 強風を送り、 枝肉表面の水分を飛ばす、 2) 高温の 水蒸気を数秒間枝肉に吹き付けて殺菌する、 3) 冷水をかけて枝肉を冷やす、 と いうプロセスからなっており、 肉色や味などの変化も起こすことなく、 バクテリ アを大幅に減らすことができるといわれている。

他のパッカーでも採用

 エクセル社は、 コロラド州のスターリング工場でこの方式の開発を行ってきた が、 USDAの承認を機に、 国内の他の5工場で同方式を採用するほか、 カナダと豪 州の工場でも、 それぞれの政府の承認後、 導入していくものとみられている。  また、 この方式は、 その効果性に加えて、 運用コストが安いことなどから、 他 のパッカーの注目も集めており、 現地報道によれば、 すでに大手パッカーのいく つかが、 メーカーに注文を済ませているという。

有害バクテリア対策の一つに

 食肉業界では、 特に、 ハンバーガーチェーンで発生した93年の食中毒事件以来、 E. Coli 0157:H7 (大腸菌の一種) などの有害バクテリア対策が重要な課題と なっている。 こうしたことから、 今回承認された方式のほかにも、 スチーム・バ キューム方式 (ノズルから水蒸気を枝肉に噴射した後、 水分や汚れを吸い取るも の) などの開発努力が行われてきた。  今後、 パッカーは、 現在検討されている、 食肉検査制度の変更内容を踏まえつ つ、 こうした新技術に注目して、 有害バクテリア対策を進めていくものとみられ る。
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