米国の牛肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇

○96年上半期の生産動向



● 前年同期比6. 5%の増加


 牛肉生産量は、 飼養頭数の増加などを反映して、 増加傾向で推移してきたが、 96年に入っても、 ほぼ前年を上回る動きを示し、 上半期合計では、 前年同期と比 べて6. 5%の増加となった (暫定値)。 ちなみに、 これは、 史上最大であった76 年の同期を約16万トン上回る水準である。  一方、 1頭当たりの枝肉重量については、 飼料穀物価格の値上がりによる肥育 期間の短縮などにより、 96年3月以降、 前年を下回って推移している。 フィード ロットでは、 肥育期間は短くなった反面、 体重の重い素牛を導入する傾向にある ため、 枝肉重量の減少幅は前年同月比で、 1%程度にとどまっている。 なお、 96 年上半期の単純平均では、 前年同期比0. 2%減 (0. 8kg減) の320kgであった。

● 経産牛のと畜頭数が大幅な伸び


 牛のタイプ別と畜頭数は、 軒並み前年同期を上回っており、 去勢牛が3. 6%、 未経産牛が7. 5%、 それぞれ増加した。  また、 経産牛については、 前年同期比16. 2%増と大幅な伸びを示し、 特に、 肉用経産牛は、 前年同期比26. 8%増と極めて高い伸び率を記録した。 これは、 肥育素牛価格の低迷により、 子牛生産者の収益状況がかなり悪化していることに 加えて、 テキサス州などの南西部で発生した干ばつで、 牧草の状態が悪くなった ことなどから、 生産者が肉用経産牛を処分せざるを得なくなったためと考えられ る。  なお、 肥育素牛価格 (オクラホマシティーの市場価格、 600〜650ポンドのもの) については、 94年以降、 供給増により一貫して前年を下回って推移しているが、 96年に入ってからはさらに値を下げ、 上半期の単純平均では、 100ポンド当たり 59ドルとなっている (1頭当たり約4万円)。

● キャトルサイクルはピークを過ぎた?


 米農務省 (USDA) は、 90年から上昇局面に入ったキャトルサイクルについて、 経産牛のと畜の大幅な増加などから、 96年前半にピークに達した可能性を示唆し ている。 また、 ある業界アナリストは、 そのピークについて、 USDAと同様の見解 を示し、 通常のキャトルサイクルの場合、 増加局面が6年であれば、 その後、 減 少局面は約4年間続くとコメントしている。  しかし、 実際にどの程度牛群が処分されていくかについては、 牧草の生育状況、 飼料価格、 肥育素牛価格などの要因に左右されていくものとみられる。 牧草の状 態については、 一部地域では、 降雨により改善が伝えられているものの、 その他 の要因も含めて、 先行き不透明な部分が大きいことから、 今後の動向に注目する 必要がある。
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