タイの鶏肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇

○最近の鶏肉需給状況



● 国際競争力の低下を懸念


 タイブロイラー加工輸出協会の会長は、 5月下旬、 今年1〜4月のタイの鶏肉 の輸出実績が目標を19%も下回っていることや、 日本の鶏肉市場において、 タイ 産鶏肉の市場シェアが減少し、 米国産やブラジル産が増加していることを指摘し て、 タイの鶏肉が国際競争力を失いつつあるとのコメントを発表した。  しかしながら、 タイでは、 最近、 鶏肉の国内消費が好調なうえ、 BSEの影響で 食肉需要が牛肉から他の食肉に一部シフトしたEU市場からも、 多くの輸出の引 き合いが来ていると言われ、 輸出価格も堅調に推移している。

● 順調に伸びる国内消費


 タイのブロイラー生産量 (地鶏を除く、 95年の推計値、 以下同じ) は、 約73万 トンであり、 これから輸出量 (16万トン) を差し引くと国内消費量は57万トンと なる。 これを、 人口 (5, 980万人) で除して1人当たり消費量を推計すると、9.5 kg (骨付きベース) となり、 91年の8. 2kgと比べると、 この5年間で16%も消費 が伸びたことを示している。 ちなみに、 日本の鶏肉消費量は14kg程度 (骨付きベ ース) である。

● 対日輸出で依然重要な位置を確保


 日本が輸入する骨なし冷凍鶏肉の中で、 タイ産の輸入価格が最も高い。 それで も中国に続く11万トンも輸入されている (95年、 ただし、 骨付き鶏肉を入れると 米国が第2位) のは、 日本の業務用需要の特徴に関連した価格以外の要因による ものと思われる。  これらは、 例えば、 カット、 整形技術、 事前処理済み製品の製造能力等の技術 的な要因や、 企業間の資本取引関係、 あるいは長年の取引の実績に基づく信頼関 係等が考えられる。 タイの鶏肉は、 国際競争力の低下を指摘されながらも、 これ らの要因を背景として、 依然として対日輸出で重要な位置を占めている。  さらに、 近年、 非常に高い伸びを示している日本の鶏肉調整品輸入の分野でも、 タイは、 輸入量全体 (5万5千トン、 95年) の約半分を占めている。 これについ ても、 対日輸出の長い経験によって、 他の輸出国に比べて技術的な優位を保って いる結果であると考えられる。
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