米国の鶏肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇

○ブロイラーの価格動向



● 引き続き堅調な卸売価格


 ブロイラーの丸どり卸売価格 (主要12都市平均、 中抜き) は、 好調な需要を反 映して95年7月以降前年を上回っており、 96年についても引き続き好調に推移し ている。 96年6月は、 前年同期比18. 1%高の66セント/ポンド (約162円/kg) と大幅に値を上げ、 88年春以来の最高値となった。  主要品目別では、 国内向け消費の中心であるむね肉の価格 (ボンレス、 北東部) が、 ファストフードや小売りからの引き合いが強かったことなどから、 95年8月 以降前年を上回り、 96年に入ってからも、 2月を除き前年を上回って推移してい る。 この品目の96年上半期の平均価格は、 171. 5セント/ポンドと、 前年同期比 で、 3. 7%の値上がりとなった。  一方、 輸出向けが主体であるもも肉の価格 (ホール、 北東部) についても、 好 調な輸出需要を背景に一貫して前年を大幅に上回って推移しており、 96年6月は、 60セント/ポンドと、 前年同期と比べて20. 0%の値上がりとなった。 また、 96 年上半期の平均でも、 前年同期を9. 5%上回る55. 1セント/ポンドとなった。 もも肉は、 むね肉と比較して3分の1程度と安価であることなどから、 国際市場 で競争力が強く、 このことが、 好調な輸出を維持している要因と見られている。

● 輸出の動向が鍵


 一方、 ブロイラーの96年の輸出量は、 1月から4月の累計で、 前年同期比21.0 %の増加となっており、 国別では、 ロシア向け (30. 3%増) やメキシコ向け(15. 3%増) が著しい伸びを示している。 (なお、 日本向けについては、 同期間にほぼ 横ばいとなっている (0. 2%減) )。 ブロイラー輸出量は、 95年には生産量の約 15. 6%を占めていたが、 96年はおよそ16. 2%に達すると見込まれており、 その 割合は、 今後もさらに高まることが予想されている。 このため、 今後も輸出の動 向が価格に関する重要な鍵を握るものと思われる。

● 飼料コスト増への対応が課題


 このように卸売価格が好調に推移しているため、 ブロイラー企業の収益は、 資 料穀物価格の高騰にもかかわらず、 比較的順調に推移しており、 95年平均では、 約7. 6セント/ポンドの黒字となった。 96年に入ってからは、 3月にロシアへ輸 出停止問題で卸売価格が下落したことから、 一時はマイナスにまで落ち込んだが、 その後はこの問題の解決とともに回復し、 6月は7. 9セント/ポンドの黒字に回 復している。 しかし、 今後、 当分の間は、 飼料穀物価格の高値が続くと予想され ることから、 ブロイラー企業の中には、 採算性の悪化を見越して、 当面、 生産の 削減や、 飼育期間の短縮などのほか、 経営のリストラを図るなどの合理化策を促 進しているところもあるとのことである。
元のページに戻る