米国の牛乳・乳製品の需給動向


◇絵でみる需給動向◇

○主要乳製品の価格動向



● チーズ、 好調な需要を背景に前年を上回る


 チーズは、 品目別の生乳仕向け量において、 最大のシェア (3割強) を占めて いるが、 この指標となる卸売価格 (チェダーの40ポンドブロック、 ウィスコンシ ン地区) は、 95年9月以降、 前年を上回って推移している。 96年に入っても、 引 き続き堅調で、 上半期の単純平均では、 前年同期比14. 5%値上がりの144. 6セ ント/ポンド (約351円/kg) となっている。  96年のチーズ生産量が、 5月までの累計で前年同期比7. 0%の増加となってい るにもかかわらず、 価格が堅調さを維持しているのは、 供給増を上回る需要があ るためである。 需要が好調な理由としては、 1) 景気が順調に推移していること、 2) ピザ、 ハンバーガーチェーンなどのファストフード業界からの引き合いが強 いこと、 3) 最近人気のあるエスニック料理を始めとして、 さまざまな種類の料 理に利用されていること、 などが挙げられる。

● バターと脱脂粉乳も堅調な値動き


 バターの卸売価格 (グレードA、 シカゴ地区) についても、 昨年2月以降、 ほ ぼ前年を上回って推移している。 96年上半期の単純平均では、 前年同期比23. 7 %高の82. 2セント/ポンドとなっている (約199円/kg)。  こうした価格動向の要因としては、 まず供給量の減少が挙げられる。 96年のバ ター生産量は、 5月までの累計で、 前年同期と比べてほぼ1割のマイナスとなっ ている。 これは、 生乳のチーズへの仕向け量が増加したことなどによるものであ る。  また、 チーズと同様に、 好調な景気などを背景に、 需要が比較的順調であるこ とも、 価格の押し上げに貢献しているものと考えられる。  一方、 脱脂粉乳の卸売価格 (西部地区) についても、 バターと同様に、 生産量 の減少 (96年1月〜5月の累計で前年同期比12. 2%減) などから、 95年7月以 降、 前年を上回り、 96年上半期の単純平均では、 前年同期比7. 4%の値上がりと なった (112. 2セント/ポンド、 約272円/kg)。  なお、 需要面についても、 おおむね好調とみられているが、 その一部について は、 チーズ向け原料乳の不足を補うべく、 還元利用されているとのことである。  ちなみに商品金融公社 (CCC) の乳製品在庫は、 こうした需給動向を反映して、 バターが95年8月から、 脱脂粉乳が96年5月からゼロとなっている。  なお、 バターと脱脂粉乳の輸出については、 1) 国内の需要が好調であること、 2) 国際価格の値下がりやドル高で、 価格競争力が低下していること、 などで前 年水準を下回っている。 96年1月から3月の累計では、 バターが前年同期比59.5 %減、 脱脂粉乳が同46. 8%減となっている。  また、 米農務省によれば、 乳製品の輸出補助金制度である乳製品輸出振興計画 (DEIP) の96年における契約状況も、 振るわないものとなっており、 例えば、 脱 脂粉乳については、 昨年水準の3分の1程度にとどまっている。
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