牛肉の需給動向と見通し (NZ)





● 肉牛頭数は95年にピーク


 ニュージーランド農業省は、 先頃、 最近の牛肉需給動向と今後の見通しについ ての報告を発表した。  これによると、 95年6月末現在の肉牛飼養頭数は、 前年の同じ時点に比べて3 %増加し、 518万頭となった。 しかしながら、 96年6月末現在の見込み頭数は、 464万頭 (同10%減) と、 再び5百万頭を割り込むことが予想されており、 肉牛 飼養頭数は、 95年をピークに減少に向かうものとみられている。

● 生産量・輸出量ともに95/96年度を境に減少


 牛肉生産量 (枝肉重量ベース) は、 と畜頭数の増大によって、 94/95年度 (年 度は10月〜翌年9月) には63万1千トンに達した。 また、 95/96年度にも同水準 の生産が見込まれている。 しかし、 肉牛飼養頭数が減少に向かうことにともない、 96/97年度の生産量は58万7千トンと、 前年度比で7%減少するものと予想され ている。  また、 牛肉輸出量 (船積重量ベース) をみると、 生産の増加を反映して、 94/ 95年度には、 前年度比12%増の34万1千トンと大幅に増加した。 95/96年度にも、 輸出価格の低迷やNZドル高などの輸出環境の悪化にもかかわらず、 前年度を上回 る34万3千トンとなることが予想されている。 しかしながら、 96/97年度には、 生産が減少に向かうこともあり、 31万2千トンと、 前年度比で9%の減少が見込 まれている。 ニュージーランドの牛肉需給動向と今後の見通し ───────────────────────────────── 92/93 93/94 94/95 95/96 96/97 (速報値)(予測値) ───────────────────────────────── 肉牛頭数 (万 頭) 468 476 505 518 464 牛肉生産量(千トン) 572 538 631 631 587 牛肉輸出量(千トン) 315 305 341 343 312 ───────────────────────────────── 資料:ニュージーランド農業省「Situation and Outlook for New Zealand Agriculture」 注:年度は10月〜翌年9月。ただし、肉牛頭数は前年6月末現在。 牛肉(子牛肉を含む)生産量は枝肉重量ベース、牛肉輸出量は船積重量 ベース。

● 新市場開拓が大きな課題に


 肉牛飼養頭数が減少に向かい始めた一因として、 現在の牛肉輸出価格の低迷に より、 牛肉産業全体が大きな痛手を被っていることが挙げられる。  これは、 国内の市場規模が小さく、 生産量の8割以上を輸出するという極めて 高い輸出依存度の下で、 米国向け (大部分が加工用牛肉) が圧倒的なシェアを占 めているため、 最近の米国での牛肉生産増による輸入急減の影響をまともに受け る格好となっていることによる。  このため、 米国以外の新たな市場開拓が急がれており、 そのための取り組みが 既に始まっているが、 特に、 日本や韓国を中心とするアジア市場への輸出拡大が その中心となっている。 ちなみに、 日本の輸入牛肉市場におけるニュージーラン ド産のシェアは、 7年度の時点で4%とまだ非常に低いが、 数量的にみると、 平 成4年度から対前年比で二ケタ台の大幅な伸びを示している (特に、 6年度から は、 チルドの伸び率が冷凍品のそれを上回っている)。  なお、 最近の現地報道によると、 新たなフィードロット建設の動きも出ており、 将来の輸出動向を占ううえで注目されている。
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