鶏肉価格が暴落 (インドネシア)





 インドネシアでは、 トウモロコシなどの飼料原料の輸入価格が高騰する一方で、 

鶏肉価格が暴落して大きな問題となっている。 対応を迫られた政府は、 関係団体

を集めて協議を続けていたが、 とりあえず、 初生ひなの供給を大幅に削減するこ

とで合意に達した。



● 生産コストを下回る水準にまで下落


 インドネシアの食肉消費は、 鶏肉が中心となっている。 鶏肉の供給は、 国内生 産によって賄われているが、 以前から構造的な生産過剰傾向が問題となっていた。  鶏肉の価格は、 3月ごろから低下の傾向を示し始めた。 首都ジャカルタ近郊に おけるブロイラー農家販売価格は、 3月には生体1キロ当たり3千ルピー (約147 円) であったが、 5月には2千2百ルピー (約107円) にまで落ち込んだ。 この 価格は、 中小養鶏農家の生産コストを下回る水準となっている。  このため、 中小の養鶏農家の団体である養鶏農家協会は、 大手養鶏企業に対し、 大手がプライスリーダーとなって低価格に誘導したとして強く抗議した。 また、 このような価格水準が続けば、 多くの中小の養鶏農家が廃業に追い込まれるとし て、 政府に対しても対応策を求めていた。

● 解決すべき問題が山積


 同国の養鶏業界は、 国民の生活水準の向上に伴って急拡大する国内需要に後押 しされ、 順調に生産を延ばしている一方で、 幾つかの大きな問題を抱えている。  第1は、 ファストフードチェーンなど新しい需要が出現している一方で、 鶏肉 処理施設、 冷蔵・冷凍施設など流通面の整備は一向に進んでいないことである。 この問題は、 鶏肉の品質に直接に影響するだけに、 需要の拡大にマイナスの要因 として働いている。  第2には、 鶏肉の生産量が増大する中で、 大手企業と中小農家の間の生産規模 の格差が拡大し、 生産コストの格差も拡大していることである。  第3は、 ひなの供給が構造的に過剰となっていることである。 タイでは、 CPグ ループを含む7つの大手企業と103もの中小業者がひなを生産・供給しており、 過当競争から供給過剰を引き起こし、 結果として鶏肉の需給バランスを崩す要因 となっている。

● 20%のひな供給削減に合意


 政府は、 養鶏農家協会をはじめとする養鶏業界の全6団体を集め、 この問題に ついて検討した結果、 当面の対策として、 ブロイラー用ひなの供給羽数を現在よ り20%削減することで合意に達した。 ひな供給業者は、 この合意を受けて初生ひ な生産用の卵の廃棄を進めており、 初生ひな価格も供給減からやや持ち直してき ている。 ただし、 期待のとおり鶏肉価格が回復に向かうまでには、 まだ、 しばら く供給過剰による混乱が続きそうである。
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