農務省、 新市場開発計画を発表 (米国)





● 輸出拡大を図る環境を整備


 米農務省 (UDSA) は、 6月21日、 将来的に米国農産物の輸出市場になることが 見込まれる国への参入を目的とした、 新市場開発計画 (Emerging Market Program) を発表した。  この計画は、 96年農業法の規定に基づいて実施される事業で、 具体的には、 対 象国に関する農産物市場情報の提供のほか、 農業金融・信用保証制度や動植物検 疫制度などの技術的支援を行なうことで、 輸出環境を整備し、 輸出の拡大を図る というものである。 新市場計画は、 90年農業法の下で実施されていた新民主国家 支援計画 (Emerging Democracies Program) を発展させたものである。  なお、 この計画の予算としては、 2002年までに毎年1千万ドル (約11億円) が 配分されることになっている。

● 政治目的の喪失から経済重視へと内容転換


 従来の新民主国家支援計画は、 旧ソ連や東欧諸国等を対象とし、 これら地域の 市場経済への移行を支援するため、 農業生産・食糧事情の調査とともに、 食糧援 助の推進などを行ない、 これらの活動を通じて米国産農産物の輸出拡大を図るも のであった。 しかしながら、 それらは、 農産物輸出の拡大という経済的な目的よ りは、 その名称が示すとおり政治・外交的な目的に重点が置かれたものであり、 旧ソ連・東欧諸国の市場経済への移行が進むにつれて、 その目的を喪失しつつあ った。  このため、 今回の新計画では、 世界の自由貿易と市場経済地域の拡大に対応す るとともに、 今後、 米国農産物の輸出市場として成長する可能性を有する国へ、 他国に先駆けて参入することを重視した内容に転換されることになった。

● 新たに中国、 ベトナム、 ペルーなどが対象に


 こうしたことから、 新計画の対象国には、 従来の旧ソ連や東欧諸国等に加えて、 アジアでは中国、 ベトナム、 パキスタン、 中南米ではペルー、 エクアドル、 中近 東・アフリカではトルコ、 アルジェリアなどの国が含まれている。  なお、 このほかの国については、 農務長官が必要に応じて対象国を指定できる ことになっている。
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