豪州の牛肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇

○フィードロット飼養頭数が急減



● 飼養頭数が急減


 豪州フィードロット協会 (ALFA) と豪州食肉畜産公社 (AMLC) が、 共同で四半 期毎に行っている飼養動向調査によると、 96年3月期のフィードロット飼養頭数 は、 全体で、 約43万5千頭となり、 95年12月期の約46万2千頭と比較すると、 5. 8%の減少となった。 さらに、 次回6月期に行われる調査では、 今回調査より7. 9%減の約40万頭になると見込まれており、 従って、 豪州のフィードロットの飼 養頭数は、 わずか半年間に、 約13. 3%も減少することになる。  一方、 フィードロットの収容能力に対する飼養頭数の割合について見ても、 全 般的に、 次第に低下する傾向が見られ、 今回調査では53%と、 調査開始以来5年 間で最低の数値を示した。 次回6月期の調査でも、 さらに6ポイント減の47%に 低下するものと見られている。

● クイーンズランド州で大幅減少


 州別の状況について見ると、 クイーンズランド州が全体の約半分を占め、 ニュ ーサウスウェールズ州及びビクトリア州と併せると全国のフィードロット飼養頭 数の約9割を占める構造となっている。 頭数の変動では、 最大のクイーンズラン ド州及びビクトリア州で、 前回調査に比べて、 それぞれ、 約3万6千頭 (15. 6 %) 及び約6千頭 (17. 0%) の減少となったのに対して、 ニューサウスウェー ルズ州では、 約5千頭の増加 (3. 1%増) となっている。  一方、 収容能力に対する飼養頭数の割合について見ると、 クイーンズランド州 が48% (対前回比11ポイント減) となったのに対して、 ニューサウスウェールズ 州は57% (同1ポイント増)、 ビクトリア州は50% (同1ポイント増) となって いる。 州別フィードロット飼養頭数 (単位:頭) ────────────────────────────────────  地   域 95年12月 96年3月 96年6月(見込み) ──────────────────────────────────── クイーンズランド 232,345 196,030 ( 84.3) 179,210 (91.4) ニューサウスウエールズ 154,345 159,150 (103.1) 156,264 (98.2) ビ ク ト リ ア 35,256 29,270 ( 83.0) 26,357 (90.0) ウエスタンオーストラリア 14,098 21,517 (152.6) 12,157 (56.5) サウスオーストラリア 25,471 28,727 (112.8) 26,215 (91.3) ────────────────────────────────────  合  計 461,515 434,693 ( 94.2) 400,203 (92.1) ──────────────────────────────────── 資料:ALFA/AMLC「National Feedlot Survey」 ( )内は対前回比:%

● 対日輸出不振で国内仕向けが増加


 グレインフェッド牛肉の仕向け先の変化として注目されるのは、 前回調査で20 %であった国内仕向け率が、 今回は27%に上昇している点である。 これは消費者 の伝統的な嗜好傾向や、 AMLCが推進してきた販促キャンペーン ( 「鉄分摂取には 赤身牛肉が最適」 ) と相反する傾向であるが、 それにもかかわらず、 次回調査で は、 国内向けのシェアがさらに伸びると予測されている。  このことは、 取りも直さず、 グレインフェッド牛肉輸出の7割を占める対日輸 出が昨年末以来、 大幅な不振となり、 これを国内販売の強化で吸収せざるを得な い、 現在の豪州牛肉産業の厳しい現実を示しているものと言えよう。
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