● 92年以来、 連続の減少
先頃、 タイ関税局が発表したところによると、 95年のブロイラー (冷凍鶏肉)
の輸出量は、 前年比1. 5%減の150. 5千トンとなった。 95年の生産量は、 昨年と
ほぼ同水準であったことから、 輸出の減少分を、 拡大している国内需要で吸収し
た形となっている。 93年以来の生産の減少には歯止めがかかったものの、 輸出量
の減少は、 くい止めることはできなかった。
タイの鶏肉輸出量は、 中国、 ブラジルなどが国際市場で台頭し、 競争が激化す
る中で、 92年の174. 8千トンをピークとして、 年々減少を続けている。 特に輸出
量の約8割を占める日本向け輸出量の減少が著しく、 95年の日本向け輸出量は、
前年比3. 3%減の119. 5千トンとなっている。
● 日本市場から脱却の試み
日本向け輸出が減少する一方で、 他の地域への輸出は、 わずかずつではあるが
増加している。 今日では、 EUは、 タイにとって日本に次ぐ第2の輸出先である。
しかし、 EUの鶏肉市場を取り巻く環境も、 EUの輸出補助金の段階的引き下げと生
産量の増加による域内供給量の増大のために、 厳しいものとなっている。 実際、
日本に次ぐ第2の輸出相手国であるドイツへの輸出は、 前年比19. 2%減の9. 7
千トンとなった。 しかし、 タイ政府が昨年から実施している、 養鶏業者や鶏肉輸
出業者に対する技術指導及び経営支援などもあり、 イギリスなど新たな輸出相手
国の獲得に成功した。 その結果、 EU向け全体では、 輸出量の大幅な減少をくい止
めている。
また、 東南アジア向け輸出も、 同地域の順調な経済成長に伴う食肉消費の拡大
により、 輸出量が増加しており、 特にシンガポール向け輸出が好調である。 加え
て、 アラブ諸国、 南アフリカなどの他の地域の国々も、 今後、 有望な市場として
期待されている。
● 96年に入ってからはさらに大幅に減少
しかしながら、 タイにとって輸出の約8割を占める日本は、 依然としてもっと
も重要な市場である。 日本向け輸出の減少の原因は、 タイ鶏肉の競争力の低下に
他ならない。 関係筋によると96年1月〜4月の総輸出量が前年比14%減少したの
に対して、 日本向け輸出量は、 96年1月〜3月で前年比22. 3%も減少したとし
ている。 なお、 輸出業界団体は、 競争力低下を招いた生産コスト高の原因は、 現
行の飼料原料の輸入割当制度にあるとして、 制度の見直しを政府に強く求めてい
る。
元のページに戻る