米国の鶏肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇

○ブロイラー生産引き続き拡大へ



● 5月までの生産量は前年比8. 5%増


 ブロイラー生産量は、 70年後半より一貫して増加傾向にあるが、 今年に入って からも引き続き好調に推移している。 96年5月の生産量 (可食重量ベース、 骨付 き) は、 前年同月を3. 6%上回る103万トンで、 今年に入ってからの累計では、 504万トンとなり、 前年同期に比べて8. 5%の増加となった。

● 好調な収益と体重増加が増産要因


 こうした、 増産継続の背景としては、 ブロイラー生産の収益性が、 依然として 良好であることが挙げられる。 ブロイラーの卸売価格 (丸どり、 中抜き) は、 95 年7月より前年水準を上回って推移しており、 96年に入ってからも、 1月〜5月 の平均価格は、 前年同月を10. 1%上回った。 このため加工業者の純利益は、 飼 料穀物の値上がりにもかかわらず、 昨年夏頃からは黒字で推移しており、 95年11 月〜96年3月の平均でみると、 5. 23セント/ポンドであった。  このように卸売価格が堅調であるのは、 輸出などの需要が引き続き好調に推移 しているためである。 輸出は、 85年以降拡大し続けているが、 96年2月の輸出量 (可食重量ベース、 骨付き) は、 前年を56. 9%上回る19万3千トンであった。 3 月は、 ほぼ前年並みとなっったが、 第1四半期では48万7千トンとなり、 前年を 23%上回った。 これを仕向け先別でみると、 最大の伸びを示したのは、 ロシア向 けで、 昨年同期に比べて44. 1%の増加であった。 その結果、 同国のシェアも昨 年同期の37. 0%から43. 4%に拡大した。  また、 一羽当たりの重量の増加も生産量拡大の一因に挙げられる。 95年1月〜 4月は、 一羽あたり平均4. 66ポンド (約2. 12kg) であったのが、 96年1月〜4 月では、 4. 81ポンド (約2. 18kg) と、 およそ3%増大している。 これは、 最近 の穀物価格の高騰による飼料コストの増加に対処するために、 生産者が飼料効率 の高い改良品種の投入を進めたことによるものとみられる (ちなみに飼料コスト は、 成鶏生産コストの約6割 (93年〜95年の単純平均) を占めている)。

● 96年は前年比6%増の見通し


 米国農務省 (USDA) は、 今後の生産の動向について、 第2四半期は、 ふ化羽数 はやや減少するものの、 一羽当たりの重量が増加するので、 全体の生産量として は前年同期をおよそ4〜5%程度上回ると見込んでいる。 第3四半期の生産量は、 大幅に前年水準を上回ると予想されているが、 これは、 昨年、 猛暑の影響で生産 がかなり減少したことを反映したものである。 また、 第4四半期については、 前 年並みの生産になると見込んでいる。 その結果、 96年通年では、 今後よほどの異 常気象等が起こらない限り、 約6%程度の生産増加になると予測している。
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