世界の飼料穀物の需給動向


◇絵でみる需給動向◇

○96/97年度の穀物需給予測を発表



● 次年度の需給動向に関する最初の予測


 世界の穀物需給は、 95/96年度末 (本年8月末) には史上最低の在庫水準とな ることが確実視されるなど、 極度にひっ迫感を強めているが、 こうした中、 米国 農務省 (USDA) は、 96/97年度 (96年9月〜97年8月) に関する最初の需給予測 を発表した。  当該需給予測は、 USDAが、 今秋以降の穀物生産・消費について、 世界各地から 収集したデータに基づき作成するものであり、 今後、 毎月更新されることにより、 今夏の端境期に向けた穀物の手当てに悩む世界の穀物取引関係者に、 大きなイン パクトを与えることになる。

● 主要国の粗粒穀物生産は軒並み増加


 今回の予測によると、 今秋の収穫を含めた96/97年度の世界の粗粒穀物生産は、 前年度比11. 3%増の8億7千7百万トンになるとされている。  このうち、 最大の生産国である米国は、 2億6千6百万トン (同27%増) と、 気象条件が悪化して生産が激減した前年度に比べ、 トウモロコシを中心として大 幅に生産を回復するとされている。  また、 中国は、 政府の食糧増産政策に伴う作付面積の拡大等によって、 1. 7% 増の1億2千3百万トンになるほか、 EUも減反緩和等の影響によって8. 7%増の 9千6百万トンになるなど、 豪州を除く主要国・地域では、 いずれも生産が増加 すると予測されている。

● 粗粒穀物の消費も増加


 一方、 96/97年度の粗粒穀物の消費は、 8億6千2百万トンと、 前年度比約3 %の増加となると予測されている。  このうち、 世界一の消費国である米国については、 1億9千6百万トンと、 8. 6%の大幅な消費量の増加が予測されている。 これは、 アルゼンチン、 カナダ、 EU等の主要国で、 軒並み生産・輸出が増加し、 国際需給ひっ迫が幾分緩和されて 穀物市況が落着きを取り戻すとみられることから、 消費が回復すると見込まれる ことによるものである。  また、 米国に次ぐ消費国である中国では、 国民の食肉消費の増加に伴う飼料需 要の拡大等により、 消費量が1億2千8百万トンへと約4%増加し、 さらに、 イ ンドネシア、 マレーシア等の東南アジア諸国でも、 中国と同様の理由から4. 4〜 4. 5%の増加になると予測されるなど、 相変わらずアジア地域の消費の堅調さが 際立っている。

● 在庫回復なるも不足基調は継続


 以上のような生産・消費の動向から、 96/97年度の世界の粗粒穀物の期末在庫 量 (97年8月末) は、 史上最低の在庫水準である前年から約18%増加して、 9千 7百万トンになると予測されている。  ただし、 それでも在庫率 (消費量に対する在庫量の割合) は11. 3%に回復す るに過ぎず、 適正在庫率とされる17〜18%には遠く及ばない状況であるため、 国 際需給は、 次年度も引き続き不足基調で推移すると見込まれる。  また、 国際貿易の面では、 最大の供給国である米国が、 消費増と国内在庫積み 増しの必要性から輸出を減少させる一方で、 経済発展が著しい東南アジアやラテ ンアメリカ諸国で輸入が大幅に増えるなどの要素があるため、 当面は、 市場動向 から目を離せない状況が続きそうだ。
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