NZの牛乳・乳製品の需給動向


◇絵でみる需給動向◇

○95/96年度の生乳生産量および基本乳価



● 生乳生産量は史上最高に


 ニュージーランド・デーリー・ボード (NZDB) によると、 95/96年度 (95年6 月〜96年5月) の生乳生産量は、 前年度を7%上回る史上最高の78万6千トン (乳固形分ベース) に達することが確実視されている (下図)。  年度当初の冬から春にかけては、 低温や降雨の影響で牧草の生育状態が思わし くなく、 生乳生産量は前年度を下回って推移していた。 しかし、 夏以降は天候に 恵まれ、 牧草の生育が非常に良好となったことなどから、 結果的には大幅な増産 が見込まれることとなった。

● 乳価も史上最高の見込み


 95/96年度の生産者乳価についてみると、 好調な国際乳製品市況を背景に、 史 上最高を記録するものと見込まれている。  ニュージーランドの生産者乳価は、 NZDBが毎年度末に定める基本乳価に、 各乳 業メーカーがそれぞれの企業収益などに応じた上乗せ分を加えて決定されるが、 NZDBは、 95/96年度の基本乳価を、 前年度比18%〜20%高の3. 55ドル〜3. 60ド ル (乳固形分1kg当たり、 ニュージーランド・ドル、 以下同じ) に定めると発表 した (下図)。 したがって、 これに乳業メーカーの上乗せ分を含めた生産者乳価 は、 前年度を18%程度上回る4ドル前後になるものと予想されている。

● 順調な生産拡大を阻む要因も


 こうした好況の下で、 酪農家の生産拡大意欲はますます高まってきているが、 それゆえの新たな問題も生じてきている。  まず、 生乳生産の急拡大に乳業メーカーの処理能力が追いつかない状況から、 新プラントの建設などの設備投資が必要となっていることが挙げられる。 乳業メ ーカーはすべて酪農協組織であるため、 新規投資にかかるコストは、 基本的には 組合員である酪農家が負わなければならない。  また、 酪農の収益性の向上によって、 酪農家が規模拡大を行うのみならず、 羊、 肉用牛経営などからの新規参入も活発となっていることから、 酪農場や酪農適地 の取引価格が急騰している問題もある。 こうしたことは、 農場投資の増大や地代 の値上がりを招くため、 生産コストの上昇をもたらし、 長期的に見た場合は、 生 産拡大の抑制に働く可能性があると考えられる。  今後は、 これらの新しい問題にいかに対処していくかが、 ニュージーランド酪 農の発展に向けての課題であるといえよう。
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