米国の牛乳・乳製品の需給動向


◇絵でみる需給動向◇

○生乳生産動向



● 生産量は、 ほぼ前年並み


 96年の生乳生産量は、 4月までの累計で、 前年同期比0. 4%増の2, 380万トン となった。 ただし、 今年がうるう年であったことを考慮して、 2月の生産量を通 常年の日数に調整すると、 逆に0. 5%程度前年同期を下回る。  一方、 搾乳牛頭数 (主要22州) については、 昨年10月から前年を下回って推移 しており、 96年4月は前年同月に比べて、 1. 3%の減少となった。 これにもかか わらず、 ほぼ前年並みの生産量が維持されたのは、 1頭当たりの泌乳量が増加し たためである。 4月までの累計では2, 559kgとなっており、 前年同期を1. 5%上 回った (同)。 ただし、 その伸び率は、 前年同期の3. 6%、 一昨年同期の3. 9% と比べると、 半分以下の水準になっている。  なお、 搾乳牛頭数の減少や泌乳量の伸び率が鈍化した原因は、 飼料穀物価格の 高騰にあると考えられる。 飼料穀物価格は、 昨年の夏以降、 ほぼ2倍に上昇した が、 これに伴う飼料コストの上昇が酪農経営を強く圧迫し、 乳牛の売却や飼料穀 物給与量の低下を促したものとみられる。 米国農務省 (USDA) の調査によれば、 酪農経営において、 飼料穀物購入費は現金支出の3割強を占めており (94年)、 その価格上昇の経営へのインパクトは大きなものとなっている。

● 今後のカギをにぎる飼料・生乳の価格動向


 今後の生乳生産見通しについては、 飼料穀物価格とともに、 生乳価格の動向に 左右される要素が大きいものとみられる。 現在、 生乳価格 (生産者販売価格) は、 チーズを中心とした需要の増加から、 堅調に推移しており、 95年10月以降、 8カ 月連続で前年を上回っている。 また、 96年4月、 5月は前年に比べて二桁の上昇 率を記録した。 今後も、 このペースで価格が上昇すれば、 飼料穀物価格の上昇に 伴うマイナス要素が相殺されて、 生産の伸びにつながることもありうると予想さ れる。  また、 96年農業法により、 今年の5月に賦課金制度が廃止されたことも、 生産 を刺激する要素として注目される。 この制度は、 生乳生産者に賦課金 (生乳100 ポンド当たり10セント) を課し、 商品金融公社による乳製品買い上げ経費などに 充てていたものであるが、 生乳生産を前年より増加させなかった者には、 当該賦 課金が還付される仕組みであったため、 生産抑制的な効果を有していた。  なお、 USDAは、 96年の生乳生産量について、 前年比1%増の7, 113万トンと予 測している。
元のページに戻る