● 94年4月以来の減少傾向
欧州統計局発表の95年12月現在の豚センサスによると、 EU15カ国の豚総飼養頭
数は前年同期より1. 7%減少し、 1億1, 560万頭となった。 同センサスは4カ月
ごとに年3回実施されているが、 飼養頭数は94年4月以来、 連続して、 前年同期
を下回って推移している。
これは、 93年後半から94年前半までの肉豚価格の低迷を反映したもので、 飼養
頭数は93年8月をピークに減少局面を迎えた。 その後、 肉豚価格は95年下期に入
って大幅に回復したものの、 飼料価格の上昇により生産者収益が圧迫させている
ことから、 養豚農家の増頭意欲は低いとされる。
このことは、 繁殖用の雌豚頭数が、 93年12月センサスから前年同期を下回って
推移し、 今回センサスでも前年同期より1. 2%減少したことに表れている。 した
がって、 今後しばらくは、 EU全体での豚群の減少傾向が続くとみられる。
● デンマークでは増加の兆し
国別飼養頭数についてみると、 ベルギー、 アイルランド、 オランダを除き、 す
べての加盟国で前年同期より減少した。 イギリスでは、 豚肉市況が近年にない高
水準にあるにもかかわらず、 前年同期より4. 8%の減少となった。 また、 飼養規
模がEU最大のドイツ、 第2位のスペインでは、 それぞれ前年同期を3. 9%下回っ
た。
繁殖用の雌豚頭数も、 デンマークで前年同期より1. 4%増加したのを除き、 主
要生産国では、 いずれも前年同期より減少した。 なお、 最近発表されたデンマー
クの96年3月時の統計では、 総飼養頭数で前年同期より1%減少したものの、 未
経産雌豚頭数は同7%増加しており、 豚群は他の加盟国に先駆けて今後拡大に向
かうとの予測が強い。
ちなみに、 今回センサスに基づいて発表された、 肥育豚生産予測によれば、 全
体の生産頭数は、 今後、 第3四半期までは前年同期を下回って推移し、 96年全体
では前年より1. 2%減少して、 1億8千6百万頭に、 また豚肉生産量 (枝肉重量)
では約1%の減少と見込まれている。
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