イギリス産牛肉関連製品3品目、 禁輸解除へ (EU)





● EU委員会による最終決定


 懸案となっていたイギリス産のゼラチン、 牛脂製品、 精液の3品目についての EUによる輸出禁止措置が解除されることとなった。  この解除案については、 EU委員会からの提案を受け農相理事会で6月3日に採 決が行なわれたが、 結果は採択とも廃案ともならなかったため、 その最終的な判 断は、 EU委員会に委ねられていた。  禁輸解除については、 既に、 6月5日の欧州議会において、 サンテールEU委員 長から委員会内での合意が発表されていたが、 正式な事務手続きを経て、 実際に イギリスからの3品目の輸出が可能となる。

● EU委員長、 イギリスを強くけん制


 イギリス産牛関連製品の禁輸問題については、 3月27日に、 牛海綿状脳症 (BSE) 問題を理由として、 EUによる全面禁輸措置が講じられて以来、 解禁を求め るイギリスと、 解禁に厳しい態度をとるドイツなどの他の加盟国との間で攻防が 続いてきた。  イギリス側は、 5月20日のEU常設獣医委員会において、 世界保健機関 (WHO) の科学的な見解に沿った3品目についての禁輸解除案が否決されて以来、 EUの通 常業務に協力しない体制を敷くなどして、 反発を強めていた。  サンテール委員長は、 6月5日の発表で、 残りの禁輸対象品目についても、 今 後、 段階的に解除を検討する方針であるが、 その検討は 「非協力体制」 の解消な しにはあり得ないと、 イギリスの強硬策にクギを刺した。

● 各国の受け入れ態勢に乱れ


 今回、 3品目の禁輸が正式に解除されたことで、 この問題は一つのヤマを越え たといえる。 現在、 EU委員会とイギリス側との間で、 残存禁輸品目のうち、 反芻 動物から製造した飼料原料の給与禁止の実施以降に生まれた牛や、 BSEへの非感 染が証明される30カ月齢以上のグラスフェッド牛などの取扱いについて、 段階的 な解除の検討が行われているとされる。  このような状況に、 イギリスは、 禁輸の全面解除への道筋が見えてきたとして 歓迎しながらも、 交渉材料である非協力体制を取り下げる様子はみせていない。 また、 一方では、 ドイツが、 今回解禁された3品目について、 今後も輸入は認め ないと表明している。  時間の経過とともに政治色が強まるなか、 EU委員会が、 今回の禁輸解除に関す る各国の不統一な対応方針をどのように調整していくのか、 また段階的な全面解 除に向けてどのような方針を示すのか、 今後の動向が注目される。
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